スーパークレイジー君が尾崎豊さん兄と“法廷対決” 逆転シロ判決の可能性は?

高裁での初公判を終えたスーパークレイジー君

レジェンド兄と法廷の場で対峙することになるとは…。埼玉県選挙管理委員会から当選無効を言い渡された歌手で、埼玉・戸田市議のスーパークレイジー君(35)が9日、裁決の取り消しを求めた訴訟で、初公判が東京高裁(渡部勇次裁判長)で行われた。クレイジー君の前に立ちはだかったのは、なんとシンガー・ソングライターで故・尾崎豊さんの兄だった。

クレイジー君は、選挙前に3か月以上の居住実態がなかったとして、戸田市選管に続き、埼玉県選管から当選無効となった。取り消しを求めての高裁提訴での初公判で、被告となった埼玉県選管の代理人弁護士を務めたのが尾崎康氏だ。

尾崎康氏は1992年に26歳の若さで亡くなった尾崎豊さんの兄。尾崎さんが不慮の死を遂げた後に「弟尾崎豊の愛と死と」を出版し、メディアでも引っ張りダコとなった。康氏はその後、弁護士資格を取得し、裁判官を経て、弁護士として活動している。

埼玉県選管によれば、県は康氏と顧問弁護士契約を結んでおり、今回の裁判でも依頼していた。ちなみに康氏が所属する法律事務所は、元戸田市長が代表を務めている。

クレイジー君は「尾崎豊さんは好きでした。バイクを盗んだことはないし、校舎の窓ガラスを叩き割ったこともないですが、『15の夜』『卒業』はもちろん聞いてましたよ。尾崎さんのお兄さんが相手側の弁護人と聞いて驚いた。僕の〝35の夜〟はどうなるんですかね」と初公判前には緊張した面持ちだったが、この日、対峙した後は「ダンディな方でしたね」と話した。

クレイジー君の居住実態がなかったとして、当選無効の異議申し立てしたのは戸田市在住の作詞・作曲家の男性で、今回の尾崎豊さん兄との法廷対決も含め、音楽業界と縁があるのは皮肉な構図だ。

初公判では争点の確認と次回期日までの書類提出日の確認で終わった。クレイジー君の弁護団を務める加藤博太郎弁護士は「相手方はかなりの証拠を出してきている。しっかり調査されたうえでやってきているが、収集した証拠には、こちらに有利な証拠がある。しっかり反論していきたい」と意気込んだ。10月5日に弁論終結し、同月21日に判決が言い渡される予定だ。

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