【MLB】大谷翔平、本塁打王へ欠かせないポイントは? 鍵は“振らない勇気”と原点回帰

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

ペレス1本差、ゲレーロJr.2本差…熾烈な本塁打王争いのキーポイントは

エンゼルスの大谷翔平投手は8日(日本時間9日)、指名打者制のない敵地・パドレス戦で2試合連続ベンチスタート。ダルビッシュ有投手との初対決もお預けとなり、今季4度目の欠場となった。リーグの本塁打王争いでは8日に2位のロイヤルズ・ペレスが42号で1本差と肉薄。3位のブルージェイズ・ゲレーロJr.も41号を放って2本差だ。4位のブルージェイズ・セミエンも38本。熾烈なタイトル争いはシーズン最終戦までもつれることになりそうだ。

大谷は15戦3発で、ペレスは15戦9発と猛追。ゲレーロJr.は15戦5発と息を吹き返しつつある。大谷は本塁打キングへ再加速は不可欠だが、何より焦りは禁物となる。シーズン残り22試合はアストロズ7試合、ホワイトソックス3試合、アスレチックス3試合、マリナーズ6試合、レンジャーズ3試合。地区最下位のレンジャーズを除けばポストシーズンを争う上位勢との戦いばかり。1敗も落とせないゲームが続く敵軍は今まで以上に四球覚悟で攻めてくることは容易に想像が付く。

米データサイト「ファングラフス」によると、ボール球を振った率を示す「O-Swing%」は短縮シーズンだった昨季を除いて過去最も低い30.7%。メジャー平均31.2%より優れたシーズンとなっている。さらにストライクゾーンのスイング率「Z-Swing%」72.6%は昨季から5%以上も数字に上げ、ボールの見極めはきっちりできていると言える。

好球必打を貫けるかが鍵「我慢の打席が多いと思う」

タイトル争いのかかるシーズン終盤へ向け、大谷は「なかなか甘い球が何球も来るわけではない。その(甘く)来た球をしっかりと打つために準備したい。ストライクゾーン近辺のボール球を追わないようにという基本的なところ。あと1か月、我慢の打席が多いと思う」と語っていた。今季は球審のボールゾーンへの球をストライク判定されることも多々あるが、いかに惑わされずに好球必打を貫けるかが鍵となりそうだ。

日本時代から左中間方向へ大きな当たりを飛ばす。大谷も「センターにしっかり打てればいい」と語ってきたが、後半戦の10本塁打は右翼6本、右中間1本、中堅3本で左翼0本。後半戦の全36安打のうち左翼方向への安打は、8月13日(同14日)の本拠地・アストロズ戦で放った三遊間への適時内野安打の1本のみだ。9月1日(同2日)のヤンキース戦後、マドン監督は「少し引っ張り気味になっているのだと思う。もっと左中間を意識していかないと。フィールドの真ん中に打つことが1番大きな修正になる」と助言していたが、残り試合でどこまで本来の姿を取り戻せるか。

開幕から投打でフル回転している。8日の敵地・パドレス戦は欠場となったが、9回攻撃中にエルボーガードなどを付けた状態で自軍ベンチに待機。「いつでも代打でいける」と言わんばかりの臨戦態勢だった。その姿を見れば周囲から指摘される疲労は今は感じていないだろう。

オールスター疲れが指摘された7月23日(同24日)の敵地・ツインズ戦で今季3度目の欠場。24日(同25日)の同戦以降の5試合は18打数8安打の打率.444、3本塁打、7打点と打ちまくった。両リーグでは1918年ベーブ・ルース以来103年ぶりとなる「2桁勝利&2桁本塁打」がかかる10日(同11日)の敵地・アストロズ戦。リアル二刀流で自らを援護する豪快弾を期待したい。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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