子どもに努力を続けさせるには? レッド吉田さんが息子との朝練で実践する“意識づけ”

お笑いコンビTIMのレッド吉田さん【写真:編集部】

レッド吉田さんの育成奮闘記、連載第2回

高校時代に甲子園に出場したお笑いコンビ「TIM」のレッド吉田さんは、5人の子どもを持つ父親。現在、小学5年生の三男・運(めぐる)くんをプロ野球選手にするという目標を掲げ、親子二人三脚で奮闘している。毎回、テーマを決めて、子育てや野球を指導する難しさなどを語ってもらう連載「レッド吉田の“巡る”野球界」。2回目のテーマは「子どもへの意識づけ」です。

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子どもが練習を続けるにはどうしたらいいのか、今の悩みの1つです。運(めぐる)は、今年3月から登校前に朝練を始めました。始めたといっても、自分から言い出したのではなく僕からの提案です。スタートは午前5時。最初は無理やりでした。

まずは「3月から朝練を始めるけど、やる? やらない?」と聞いたら「やる」と答えました。開始1週間前、そして開始前日に「朝練やるけど起きられる?」と確認しました。「大丈夫」と答える息子に、何のために朝練をするのか説明します。目標はプロ野球選手になって活躍することです。そのためには空いている時間に練習する必要があって、朝が1番空いているから練習しようと、寝る前に意識付けをするわけです。

翌朝、やっぱり息子は起きません。嫌だと言って布団から出ません。僕と息子の間には「プロ野球選手になる」という約束事があります。言ってみれば、大前提になる契約です。

「プロ野球選手になるんだよね? 練習しようよ」と息子に声をかけて、一緒に外に出ます。息子は不機嫌なまま体を動かします。昔なら、ここで怒っています。連載の1回目でお話しましたが、僕は長男と次男の時に失敗しているので一切怒りません。

朝練開始から1週間が過ぎて見えた息子の変化

不機嫌なまま身の入っていない練習をする。でも、今はそれでいいです。習慣付けして、練習しないと気持ち悪くなるくらいまで持っていくことができれば、おのずと自分からスイッチが入る――。そう信じて1週間続けました。そうすると、息子は調子のいい時、先に起きてきて僕に「練習行くよ」と言ってくるようになりました。

前日に寝るのが遅くなると、早起きできなくなることがあります。そういう日は「きょうは20分もやらなくていいからやろう」と声をかけます。少しでも自分がやったという成功体験を植え付けるのが大事だと思っています。

長男や次男の時は、朝練をするとしても「走って来いよ」と言って終わっていました。結局やるのは本人なので、「自分で練習しろよ」、「自分で考えろよ」と。でも、それは違うと感じました。僕も一緒に練習することが大切なんだなと思います。

昔は自分を犠牲にしたくない気持ちがありました。息子が自分でやらないとダメというのが、僕にとっての言い訳でした。ランニングもそろそろ始める予定ですが、習慣化するまでは一緒に走って背中を見せるつもりです。仕事で夜が遅くなってしまっても、朝起きないのは言い訳でしかありませんし、息子と体を動かすのが生きがいになってきています。

父が練習方法も考案、トラックの荷台用ロープを購入し…

練習メニューを考えるのも楽しみであり、僕の役目だと思っています。最近では、テレビ番組でプロも注目する高知高校の森木大智投手がロープを使ったトレーニングをしているのを見て、自宅に同じものを作りました。トラックの荷台用のロープを買ったらフックがついていて、家の柱にくくりつければいけるなと。

息子に森木投手がロープを使ってバランスを取る練習をするVTRを見せて、「これができたら内転筋が鍛えられて、同じように150キロのボールを投げられるようになるからやってみよう」と提案しました。よさそうな練習は取り入れて、必要な器具は基本的に作ってみようと思っています。

楽天の黒川史陽内野手は実家がバッティングセンターを経営していたので、毎日のようにバッティング練習をしていたそうです。練習環境が子どもの能力を伸ばしたり、意識を高めたりするのではないでしょうか。

僕も息子の背中をうまく押しながら、息子の野球人生にがっつり関わっていきます。これまでの反省を踏まえながら、結果が出たらいいなと信じて続けていくつもりです。

残り1年半、皆さんにも楽しんでもらえる動画を作っていけたらと思っています。

○プロフィール
レッド吉田 1965年10月30日生まれ、京都府出身。名門・東山高(京都)で1983年夏の甲子園に出場する。ゴルゴ松本とともにお笑いコンビ・TIMを結成し、バラエティ番組で人気に。野球が大好きで、5児の父としても奮闘中。三男・運(めぐる)くんをプロ野球選手にするために立ち上げたYouTubeチャンネル「レッド吉田の野球子育て奮闘記~めぐる巨人への道~」を開設中。(記事提供:First-Pitch編集部)

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