温かい夕食セットをワンコインで 名護の弁当店「経営苦しいがお互いさま」

 【名護】沖縄県名護市にある創業30年の弁当屋「じゅげむ」が10月から500円のワンコインで夕食セット(弁当、サラダ、スープ)を販売する。お客の健康面を意識し、菜の花やニンジン、ゴーヤーなど野菜をふんだんに使ったメニューを考案中で、テビチ煮込みや肉じゃがなどを販売する予定だ。店を切り盛りする上村房江さん(67)は「コロナ禍で経営は苦しいが、生活が厳しい人にも温かい夕食を届けることができれば」と話した。

 上村さんは30年ほど前に名護のバスターミナルで開業。2012年から名護市役所近くで店舗を構えている。新型コロナウイルスの感染拡大前は、老人会や学校行事、スポーツイベントなどの注文も多く、週末は1日で多くて400~500食の弁当を販売した。

 コロナ禍で地域の行事の中止や延期が相次ぎ、注文がほぼなくなったことで売り上げは約4割減少し、赤字経営に。材料費の高騰もあり苦しい経営が続くが、値上げをせずに弁当の販売を続ける。

 ワンコインの夕食はサラダやスープも付けるため、ほとんど利益は見込めないが、上村さんは「苦しいときはお互いさまだ。温かい夕飯を食べると少しは元気になるはずだ」と笑顔を見せる。

 金城さんの知人で常連客の宮城江美子さん(64)は「店の経営が苦しい中でも常に周囲のことを考える上村さんに助けられている人は多いと思う」と話した。じゅげむの問い合わせは(電話)0980(54)1942。

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