コロナ禍で新たな演出を加え、新橋芸者の晴れ舞台「東をどり」が2年ぶりに開催

9日、都内の新橋会館稽古場で、第96回「東をどり」に向けた稽古が公開された。

「東をどり」とは、年に1度、5月末に新橋演舞場で開催されている新橋芸者の晴れ舞台だ。去年に予定していた公演は新型コロナウイルスの感染拡大のために中止となり、今年は5月末ではなく、10月27、28日の開催となった。

再開の方法を模索した結果、96回の歴史上、初の試みとして映像を取り入れた演目を今回は企画した。フィナーレの芸者総出の踊りは通常通り舞台で行うが、その他の演目は映像での公演となる。

映像部分は、都内の料亭を利用しており、料亭での撮影は史上初とのこと。通常は一見さんお断りの花柳界に巡る四季風景をイメージし、「春がすみ」「菖蒲浴衣」「雁金」「鷺娘」などの演目が披露される。

映像での公開とはいえ、手抜きは一切なく、背景となる料亭内は花柳界の四季の移り変わりを感じさせられる演出が随所に散りばめられている。最もわかりやすいのが、映像の背景として活けられている生花だそうで、「菖蒲浴衣」の背景となっている菖蒲は畑ごと購入し、200本の花と300本の葉を料亭の広間に活けこんだという。

取材当日稽古に参加していた喜美緒さんは、今回初となる映像収録での踊りと、普段舞台で演じるときの違いについて「普段の舞台はお客さんが観てその場限りなので、やり直しができない緊張感はあるのですが、映像の場合はやり直しができたとしても後々まで残ってしまうことでプレッシャーがかかります。しっかりしなければいけないなという気持ちで撮影に臨みました」と語った。また、小夏さんは「踊りと歌を別で収録したりと、普段やらないことを何度もする内に緊張してきて、一回で済んだ方がまだ緊張しないかなと思いました」と苦労を明かす。

今回が初めての東をどりだという鈴千代さんは、親類に芸者経験者がいないが、高校生のときに調べてこの世界に飛び込んだそうで「緊張していますが、頑張りたいと思います」と意気込み語った。

公演は各日4回の全8回公演で全席指定の4,000円、10,000円の料亭謹製の東をどり弁当の付き桟敷席特別鑑賞券も販売している。

◆前売り開始:9月10日(金)より

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