ピョンヤン冷麺の本場、腕競う職人たち 「ここでしか味わえない味」を追求

日本の盛岡冷麺はでんぷんと小麦粉がベースだが、朝鮮で最もポピュラーな冷麺は、そば粉入りの麺を使った平壌(ピョンヤン)冷麺。その本場では、職人たちが腕を競うコンテストが開かれている。

そば粉入りの麺を使った平壌冷麺 (C)朝鮮新報

平壌市内で味に定評のある冷麺店は、清流館と平壌麺屋、そして平壌冷麺の元祖といわれる玉流館。ここで働く職人たちがコンテストに参加する。

味を競い合うのは三つの部門だ。オーソドックスな平壌冷麺と肉チェンバンクッス、そして「肉水」(ユクス)と呼ばれる冷麺スープ。朝鮮では「冷麺はスープが命」とされている。

肉チェンバンクッス(C)朝鮮新報

90年代後半に登場した肉チェンバンクッスは、「チェンバン」と呼ばれるお盆状の平たい器と少し太めの麺、山盛りの茹でた鶏肉が特徴だ。いまのところ、日本国内の焼肉店などでは提供されていない「平壌の庶民の味」だ。

昨年12月のコンテスト、肉チェンバンクッス部門で優勝したのは清流館。高く評価された麺の生地とスープを手掛けたのはハン・チュンヒョクさん(41)。彼曰く「肉チェンバンクッスの味は、麺の原料であるそば粉の鮮度をいかに保つかで決まる。スープづくりでは、鶏肉の旨味を最大に生かすことが大事」だという。

玉流館で冷麺を味わう平壌市民(C)朝鮮新報

一方、王道の平壌冷麺部門で優勝したのは、やはり玉流館。黄金色のスープの中に鎮座した麺が黒々と輝く。その上にキムチ、鶏、豚、牛、ナシ、キュウリ、ゆで卵が塔のように積み上げられ、傍らに松の実が3粒、上品に浮かぶ。

このような「完璧な平壌冷麺」は、外国では味わえない。玉流館が朝鮮を訪れた外国人観光客たちの定番スポットの一つになっている所以だ。

玉流館(C)朝鮮新報

玉流館伝統の冷麺づくりで中心的な役割を担う37歳の若手料理人アン・グクチョルさんは、伝統の味を継承しつつ、現代的なセンスで次世代の冷麺を追求している。

「国内外を問わず、常に人々の期待に応えられるよう腕を磨いていく」- 職人同士の切磋琢磨によって、本場の平壌冷麺も日々進化しているようだ。

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