東京五輪金の新井千鶴が現役引退 苦しみの中に達成感「人間的にも成長」

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 引退会見を行った新井千鶴(三井住友海上提供)

 東京五輪柔道女子70キロ級で金メダルに輝いた新井千鶴(27)=三井住友海上=が10日、現役引退を発表した。オンラインで会見し、「これまでの競技人生はさまざまな方の応援やサポートで現役生活を続けることができた。関わってくれた全ての方に感謝」と晴れやかな表情で報告。今後は社業とともに、指導者として活動する。

 悲願の金メダルを置き土産に畳を去る。新井は現役中から今後の進路について考える機会が多かったといい「東京五輪の後、第二の人生を歩みたいという思いが強くなり決断した」と引退を報告。「振り返ると苦しいことも多かったが、そのぶん達成感を感じることもできた。柔道を通じて、競技力だけでなく人間力も養うことができた」と胸を張った。

 172センチの長身と長い手足を武器に、釣り手と引き手を持って内股を主軸に豪快な技を仕掛ける本格派。オーソドックスな分、相手からの徹底マークを打開できずに敗れることもあった。16年リオデジャネイロ五輪は代表から落選する失意も味わったが、愚直に自身のスタイルを追求し続け、最後に夢舞台で大輪の花を咲かせた。

 「東京五輪での一試合一試合が印象深く思い出に残っている。険しい道のりも多かったが、たくさんの出会いで人間的にも成長させていただいた。競技生活で得たものを今後の人生でも生かしていきたい」。紆余(うよ)曲折を経たヒロインは、その苦しみも喜びも後進に伝えていく。