第5波ピーク越え 人流抑制、10月まで維持を 長崎大熱研が感染推計

本県の陽性報告数と今後の予測

 長崎大は10日、新型コロナウイルス流行の第5波はピークを越えたとの分析結果を公表した。一方、本県は飲食店の酒類提供制限など各種自粛要請が近く解除されるものの、盆前後と同等の人流抑制を10月上旬まで維持できれば、次の波は第4波(5月)より低く抑えられるとのシミュレーション結果=下の図=を示した。
 同大熱帯医学研究所の有吉紅也教授らでつくる疫学検討班がデルタ株への置き換わりの状況やワクチン接種率、効果などを踏まえて推計した。
 県内では8月10日から、県全域の飲食店などに営業時間短縮が要請された。長崎、佐世保両市で酒類の終日提供自粛などを定めた「まん延防止等重点措置」は今月12日までで、県全域の緊急事態宣言も佐世保市を除き解除される。
 同大の推計によると、人流抑制が同13日からすぐ8月10日以前の状況に戻った場合、新規感染者数は10月には第5波のピークを越える=上の図=。
 検討班は8月6日、人と人の接触機会を7割減らせた場合、同13日に140人に達するとのシミュレーションを公表していた。実際は同19日、過去最多の114人となり、その後減少傾向となった。
 有吉教授は、「実現は難しい」と想定していた理想的なシナリオ以上に感染の波を抑えられたと評価した。早めの時短要請や県民の行動変容などが減少の要因と考えられるが、具体的に何が感染拡大の抑止に効果的だったかは「不明」(有吉教授)という。

第5波の現状と今後について説明する有吉教授=長崎市坂本1丁目、長崎大坂本キャンパス

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