F1第14戦木曜会見:「ジュニア時代から“いつかは”と思っていた」メルセデス昇格を喜ぶラッセル。ライバル心も隠さず

 2021年F1第14戦イタリアGPの始まる数日前、来季のドライバーラインアップの目玉ともいうべき人事が発表された。ウイリアムズのジョージ・ラッセルがメルセデスに昇格を果たしたのは予想通りだった。しかしバルテリ・ボッタス(メルセデス)のアルファロメオ入りは、このチームのフェラーリ色の強さからいえば、意外な移籍だったといえる。

 なので木曜会見に出席したボッタスに対しても、まずは「なぜアルファロメオだったのか」という質問が飛んだ。

──来季の移籍先が決まりました。なぜアルファロメオだったのですか?
ボッタス:エキサイティングな選択だからだ。偉大な歴史のあるブランドだし、今のチーム自体も明るい未来が待っていると確信できたからね。もちろんやるべきことは多いが、準備はできているよ。

──他のチームとも話をしましたか?
ボッタス:ああ。いろいろとね。そして最終的に、アルファロメオが正しい選択肢だという結論に落ち着いた。

2021年F1第14戦イタリアGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)

 ここでいう他チームに、ウイリアムズが入っていたことはまちがいないだろう。普通に考えれば、ラッセルとのスワップの形で古巣に戻るのが順当だからだ。しかしボッタスの口からは、「なぜアルファロメオなのか」という疑問への本当の答えはついに出なかった。

──これまで5年間トップチームに所属し、9勝を挙げました。来季はどんな活躍ができると予想していますか。
ボッタス:5年間はあっという間だったね。そして来年で、F1も10年目だ。メルセデスでの歳月は、本当に素晴らしかった。もちろん来年は、勝利を狙える可能性は非常に低い。でも技術レギュレーションも大きく変わるしね。誰も来年のことは、わからないはずだ。

──メルセデスでの残りのレースは、どんなふうに送りたいですか?
ボッタス:コンストラクターズタイトルはぜひ防衛したいし、僕自身はあと何勝かしたいところだね。ルイスと一緒にレースをしたのは本当に楽しい思い出だったし、最後までエンジョイするつもりだよ。

──すでにスパの前に、ドライバー変更は聞かされていたとのことです。事実ですか
ボッタス:個人的なことだし詳細は控えるけど、スパの前に、すでに来季どうなるかは知っていたよ。ハンガリーの後、スパの前に決断が下されたということだ。

──ハミルトンのチームメイトとして、ずっと影の存在でした。そのことをどう思っていますか。
ボッタス:影の存在。ふたりの成績を比較すれば、確かにその通りだ。でもそれについて、とやかくいうつもりはない。ここ数年はずっと、チームのために戦うことにやりがいを感じてきたしね。今年は残念ながらドライバーズタイトルの可能性は早くもなくなってしまったけど、その分コンストラクターズ選手権の方に全力を注ぐよ。

2021年F1第13戦オランダGP ルイス・ハミルトン&バルテリ・ボッタス(メルセデス)

■ハミルトンは「チームメイトになれてうれしいと言ってくれた」

 一方、メルセデスへの昇格が決まったラッセルは、ルイス・ハミルトンを偉大なチャンピオンとして尊重しつつも、ライバル心もあえて隠そうとしなかった。

──メルセデス移籍が決まって、幸せですか?
ラッセル:もちろんだよ。ジュニアチーム時代からずっと、「いつかは」って思っていたからね。

──7度の世界チャンピオンと一緒に走るのは、とてつもないチャレンジだと思います。どんな準備をするつもりですか。
ラッセル:もちろん簡単じゃないだろうことは覚悟してる。ルイスは現役最高というだけじゃなくて、F1の歴史に残るドライバーだ。だからこそ彼から学べることも山のようにあるはず。そこも今は、すごく楽しみだよ。来季は技術レギュレーションが大きく変わるから、いつも以上にふたりのドライバーの協力が重要だろうしね。

2020年F1第16戦サクヒールGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

──移籍が決まってから、ハミルトンとは話しましたか?
ラッセル:うん、今週になってから。おめでとうと祝福してくれて、チームメイトになれてうれしいと言ってくれたよ。

──ハミルトンはこれまで、フェルナンド・アロンソやニコ・ロズベルグといったチームメイトたちと緊張関係にありました。トト・ウォルフ代表は「ラッセルとはそういう関係にならないようにする」と言っていました。あなた自身は、どう対応するつもりですか。
ラッセル:メルセデス上層部は、その点の経験は非常に豊かだ。ほとんどの場合、公平かつ断固たる決断をしてきた。来季以降もそれは変わらないと信じているし、なので僕は彼らに任せるだけだ。

──とはいえ同じ車に乗るハミルトンを打ち負かしたいという欲求は、もちろんありますよね? それともナンバー2待遇に甘んじる用意がある?
ラッセル:その点については、僕はまったく明快だよ。繰り返すけど、メルセデスはふたりのドライバーにいつもベストの機会を与えてくれてる。そして僕は自分自身を強く信じている。

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