【アニソン四半世紀】サクラ大戦の進化と不変の魅力を両立

「新サクラ大戦 歌謡全集」ジャケット

【佐倉綾音(天宮さくら)、内田真礼(東雲初穂)、山村響(望月あざみ)、福原綾香(アナスタシア・パルマ)、早見沙織(クラリス)「檄!帝国華撃団<新章>」】

セガの人気ゲーム「サクラ大戦」が発売されたのは1996年のこと。そのテーマソング「檄!帝国華撃団」は“ゲキテイ”の略称でスタンダード化し、カラオケでも定番に。アニメ化された際にもオープニングテーマとして使用され「サクラ大戦」シリーズを象徴する一曲となった。

それから長い年月が流れ、2019年12月に新作ゲーム「新サクラ大戦」が登場。同作のアニメ化作品も20年4~6月に放送された。ゲームとアニメ、その両方でテーマ曲となったのが、この「檄!帝国華撃団<新章>」だ。

作品内でヒロインを演じる5人の人気声優たちが歌ったこの曲、タイトルからも分かるようにゲキテイのリメークである。とはいっても、ただ同じ曲を新しい声優に歌わせただけではない。イントロが始まった途端に、おなじみのフレーズが流れ、往年のファンなら「ああ、サクラ大戦が帰ってきた!」と胸が熱くなるだろう。しかし、佐倉綾音の歌が入ってきた瞬間に、ノスタルジックな空気は一変。イントロは昔と同じでも、歌詞とメロディーが全く違う“別の”楽曲になっているのだ。ここで今回のサクラ大戦が真に新しい作品であることを実感する。

が、驚きはまだ続く。サビになると、そのメロディーは昔のままのゲキテイなのである。新しさと懐かしさ、サクラ大戦の進化と不変の魅力、それらを両立させるという荒業を成し遂げた作曲者・田中公平の手腕には脱帽するしかない。

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