SUBARU BRZの“三度目の正直”叶う。ポール・トゥ・ウインで3年ぶりの勝利を掴む【第5戦GT300決勝レポート】

 9月12日、2021年のスーパーGTの第5戦『SUGO GT 300km RACE』の決勝レースが、スポーツランドSUGOで行われ、GT300クラスはポールポジションスタートのSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)がトップチェッカーを受け、今季初優勝を獲得。新型BRZとしても初めての勝利を手にした。

 2位にはARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮)が、3位にはリアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/J-P.デ・オリベイラ)が続いている。

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でスーパーGTの開催がなかったSUGO。そのため、今大会は2019年の第7戦以来2年ぶりのスーパーGT唯一の東北ラウンド開催となった。

 前日に行われた公式予選では、前戦に続いてSUBARU BRZ R&D SPORTが、サクセスウエイト(SW)を54kg積みながらも今季3度目のポールポジションを獲得した。これまでの2度のポール獲得も、決勝ではポジションを守ることができなかったBRZ、必勝を願って挑む今大会は三度目の正直なるかが注目を集めた。

 フロントロウにはSW9kgと軽いUPGARAGE NSX GT3 (小林崇志/名取鉄平)、2列目にはSW69kgを積むSYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)と、SW66kgを積むJLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が並んだ。

 予選日は終始曇り空となったSUGOだったが、12日は快晴に恵まれた。決勝は隊列が整わなかったことを理由に1周のエクストラフォーメーションラップが実施され周回数が1周減算されるなか、気温26度、路面温度46度、湿度40%というコンディションで13時37分にスタートを迎えた。

 ポールポジションスタートのSUBARU BRZ R&D SPORTの井口がホールショットを守る。そんななか、 オープニングラップの馬の背コーナーで5番手スタートのARTA NSX GT3高木真一がJLOC ランボルギーニ GT3元嶋佑弥をかわし4番手に浮上、序盤から勢いに乗る高木は3周目ホームストレートでSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTの吉本をかわし、3番手に浮上する。

 さらに高木は2番手を走るUPGARAGE NSX GT3小林に接近するも、対する小林は1分21秒台前半という好ペースで周回を重ね、高木の猛威を封じる。そんななか、トップのBRZ井口は10周目にUPGARAGE小林に対し4秒251のギャップを築いた。

 その後もテール・トゥ・ノーズの接近戦を続けていた2番手争いだったが、14周目にはGT500クラスの隊列が接近。19周目には2台のギャップが0.3秒差まで縮まると、20周目の最終コーナーでスリップに入った高木が、続く21周目の1コーナーでオーバーテイクを決め、小林を攻略。2番手に浮上した高木が5.756秒先行するBRZ井口を追う展開となった。

 20周を過ぎ、トップBRZは1分22秒と僅かにペースを落とすなか、ARTA NSX GT3高木は1分21秒台後半のペースをキープ。25周目に3.451秒あった2台のギャップは、30周目に1.793秒まで縮まった。

 一方、6番手を走るグッドスマイル 初音ミク AMGが26周目に早めのピットイン。左2輪交換で停車時間を短縮し、28周目にタイヤ4本交換を敢行したSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTをアウトラップで交わし、ポジションをひとつあげ暫定4番手に浮上する。

 34周目、2番手ARTAがピットに入り佐藤蓮にドライバーチェンジ。37周目にはBRZがピットインし山内にステアリングを託した。BRZ山内はARTA佐藤を7.9秒先行し、コース復帰する。

 BRZ山内は42周目に1分20秒721を記録するハイペースで周回を重ねる一方、ARTA佐藤は1分21秒後半のペースとなり、2台のギャップは徐々に広がりをみせた。

 そんななか、44周目の最終コーナー出口でGT500クラスのWedsSport ADVAN GR Supraが炎を上げてマシンを止めた。これにより、セーフティカー(SC)が導入される。

 SCは52周目に解除されレース再開を迎えると、ギャップを大きく縮めたARTA NSX GT3が53周目のホームストレートでBRZに勝負を仕掛けた。BRZのアウト側にマシンを振った佐藤だったが、ここでBRZの左リヤとARTAの右フロントがわずかに接触。BRZからパーツが飛んだが、山内がポジションを守り切り、55周目には2.061秒のリードを築いた。

 56周目、グッドスマイル 初音ミク AMGの右フロントタイヤがパンク、3番手まで順位を上げていた片岡だったが、ここで優勝戦戦からは離脱となった。

 レース距離も3分の2を経過ところでGT500クラスのENEOS X PRIME GR Supraが1コーナーイン側のグリーンにマシンを止めると、車両回収作業のため、59周目にフルコースイエロー(FCY)が導入される。61周目にFCYが解除されると、BRZ山内は引き続き1分21秒台の安定したペースで周回を重ね、2番手ARTA NSX GT3とのギャップを広げた。

 78周目、ARTAに対し11秒のリードを築いたSUBARU BRZ R&D SPORTが“三度目の正直”となるポール・トゥ・ウインを決めて今季初優勝を獲得。スバルにとっては2018年第6戦以来3年ぶりの勝利、そして新型となったBRZにとっては初めての勝利を手にした。

 2位はARTA NSX GT3、3位にはSW81kgを積んだリアライズ日産自動車大学校 GT-Rが入った。4位にグランシード ランボルギーニ GT3が、5番手にSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTが、6位にYogibo NSX GT3(道上龍/密山祥吾)が続き、7位にJLOC ランボルギーニ GT3が入った。

 8位にK-tunes RC F GT3(新田守男/小高一斗)が入り、SW100kgを積むたかのこの湯 GR Supra GTが最終ラップでパンクに見舞われるも9位入賞。そして10位に入ったGAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)までがポイントを獲得した。

 2021年のスーパーGT、次戦となる第6戦『AUTOPOLIS GT 300km RACE』は10月23〜24日、大分県日田市のオートポリスで行われる。

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