窮地のソフトバンク 抜てき続くリチャードに…小久保ヘッド「自分の城を築くためにやれ」

期待のスタメン起用が続くソフトバンク・リチャード㊨(東スポWeb)

育成出身のロマン砲は大きく育つか――。ソフトバンクの大砲候補・リチャード内野手(22)がシーズン佳境を迎える中、スタメン出場を続けている。その起用は球団の大きな期待の表れだ。

今月2日にプロ4年目で初めて出場選手登録されると、ここまで9試合中8試合に先発出場。打率2割2分2厘ながら3本塁打、10打点(12日現在)とインパクトを残している。5日のオリックス戦での2発6打点に象徴されるように、新しい風を吹き込んでいる。

経験が乏しい若手が結果を残し続けられるほど、プロの世界は甘くない。その思いは「野手全権」を担う小久保裕紀ヘッドコーチ(49)も同じで、こう語っている。

「スタメンは控え選手の分もやるという責任がある。今は松田とか、ほぼスタメンを外れている。ああいう選手を差し置いて出ているリチャードは、そういうところまでしっかり考えないといけない。打てる打てないは関係なく、やるべきプレーをしっかりやる。積極的なミスはOK。消極的なミスは許されない。そういうスタイルでやってほしい」

その上で「リチャードに頼ってはかわいそう。あいつはチームの勝敗なんか気にせず〝自分の城〟を築くためにやるんです。チームのためにやるのはベテランだけ。給料高いやつがやるんです」と小久保節で〝逃げ道〟を用意し、力強く背中を押している。

常勝球団において「勝利」と「育成」の両立は永遠の課題だ。「勝つためにやっている。そこに多少は育てるっていうのはあっても、基本は優勝するための戦力と考えている。状態が悪くなれば当然外れるでしょう。内容のいいものを出し続けることが大事」とも語った小久保ヘッド。逆転優勝をあきらめない戦いが続く中で、鷹の未来を担う22歳の奮闘にも大きな注目が集まっている。

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