グラブとボールも運べるバットケース? 便利グッズ考案は野球少年のパパ社員

ミズノは「オールインワンバットケース」を開発した

担当者「これ1つあれば遊びに行けるので便利」と自信の商品

バットやグラブにボール、さらには水筒。野球の練習をしようと近所の空き地や公園へ行くにも、意外と荷物は多くなる。「全ての持ち物をひとつにまとめられたら」。ありそうでなかったアイテムが、6月にミズノから発売された。商品化のきっかけは、長期化する新型コロナウイルスの感染拡大だった。

一見、一般的なバットケースに見える。ただ、多くの野球少年や保護者のかゆいところに手が届く工夫が凝らしてある。まず、長さ約92センチのケースにはバットが2本収納できる。そして、ボールが3つ入るポケットと、バッティング手袋や財布、スマートフォンなどを入れる小物ポケット。水筒やペットボトル用のサイドポケットがついている。

さらに、グラブを固定できるバックルがついているため、このオールインワンバットケースひとつで野球に出かけられる。ケースは斜め掛けすれば両手が空き、自転車に乗る時も安全。フェンスにかけられるようにフックも付いているので、砂や土で汚れることもない。

ミズノでは、これまでに数々のバットケースを発売してきた。2本、3本、6本と複数のバットが入るものや、小物が入るポケットの付いたものはあった。ただ、グラブや水筒などは、バットケースとは別に手に持つことを想定していた。野球に必要な用具をひとつのアイテムに収納するという、思い付きそうで今までなかった発想は、コロナ禍で生まれた。

新型コロナの感染拡大で遠出が難しい中、あるミズノの男性社員は小学校低学年の息子と近所の公園で野球をするのを数少ない楽しみにしていた。ただ、両手は用具でいっぱい。「全部を収納できるものがあったらいいな」。バッグの企画担当をしていた男性は、会議で「オールインバットケース」を提案。多くの賛同を得て、すぐに商品化が決まった。

ミズノのオールインワンバットケース【写真:編集部】

フックもありネットにもかけられる、親子の共感を呼ぶアイテムに

ミズノトウキョウ野球売場安河内さんは「これ1つあれば遊びに行けるので便利。まだ市場に出ていないうちにスピード感を持って商品化しないと、二番煎じになってしまうので」と話す。発売されると、野球をしている子どもを持つミズノの社員も購入。親子で来店して手に取る人も多く、好評だという。

収束の兆しが見えない新型コロナ感染拡大で、野球も大きな影響を受けている。昨年のセンバツ高校野球は中止となり、今夏の甲子園は無観客で開催。少年野球の大会も全国で中止が相次いだ。開催されても、声を出しての応援が制限されたり、ベンチではマスクを着用したり、これまでと同じ形には戻っていないのが現状だ。

家族で過ごす休日も制約されている。大勢で集まることや、都道府県をまたぐ移動は自粛を呼びかけられている。「外に出て親子で野球をするのは、新型コロナの感染リスクは低い。その時に、オールインワンバットケースなら多くの荷物を手に持ってということにはならないので、手軽に近くの公園や広場に行ける」とミズノの安河内さん。野球少年を持つパパ社員の考案は、コロナ禍でも体を動かす楽しみを失いたくない親子の共感を呼んでいる。(記事提供:First-Pitch編集部)

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