自然満喫、テレワーク対応のお試し住宅 秦野市が開設へ

空き家を活用し秦野市が整備した移住お試し住宅=同市菖蒲

 秦野市は11月から、移住・定住を検討している市外在住者向けの「お試し住宅」を開設する。空き家を活用した同市初の事業で、最長2週間の滞在が可能。高速インターネット環境を備え、新型コロナウイルス禍で需要が増すテレワークにも対応する。市は「丹沢の豊かな自然を満喫しながら仕事や生活ができる秦野の魅力をアピールしていきたい」と意気込んでいる。

 市の人口は8月現在で約16万2千人と、ピーク時の2009年から約8千人減少した。税収の落ち込みや活力低下を懸念する市は定住促進策を進めているが、人口減に歯止めはかかっていない。

 一方、コロナ禍でテレワークが進み、都会から郊外に生活を移す暮らしが注目されている。都心からのアクセスが良いことを理由に秦野への移住に関する問い合わせが増えたため、市は移住者を呼び込もうと暮らしを体験できる事業を初めて企画した。

 「TANZAWA LIFE」と命名されたお試し住宅は小田急線渋沢駅から北西方向に車で10分ほどの「市内で特に自然環境に恵まれている」(市交通住宅課)という同市菖蒲の築16年の木造2階建てログハウス。敷地は約330平方メートル、延べ床面積約65平方メートルで広い庭もある。

 6日には報道陣向けの内覧会が行われた。玄関を開けると木の香りが広がる住宅は、1階にはリビングダイニングとキッチン、洋室などがあり、2階は洋室1部屋。家電製品や調理器具、ダイニングテーブルなども用意され、家族利用もできる。

 ベランダからは秦野盆地や江の島、三浦半島などが一望でき、庭からは表丹沢の山並みも見える。賃料は1世帯当たり2泊3日~6泊7日が1万円、7泊8日~13泊14日が2万円(いずれも光熱費込み)。

 内覧会に訪れた同市の高橋昌和市長は「自然豊かな秦野ライフを体験してもらうには素晴らしい住宅。横浜や都心からのアクセスもいい秦野の良さを実感して、定住につながるきっかけにしてほしい」と話した。

 お試し住宅への予約サイトは9月中に開設予定で、10月1日から予約を開始する。問い合わせは同課、電話0463(82)9642。

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