韓国LGが希土類6割減のマグネット開発 「日本の技術は世界最高だが、AI学習で開発短縮」

韓国の素材大手であるLGイノテックが、世界で最も強力な磁力を持つマグネット(磁石)を開発したと13日に明らかにした。同社はアップルのiPhoneにカメラモジュールを大量に供給する有力メーカーでもある。

マグネットは、自動車モータ、スマートフォンカメラ、オーディオスピーカー、風力発電機などに入る必須素材だ。駆動が必要な製品に装着し磁石で動力を提供する。

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LGイノテックが開発したマグネットは、コア成分であるの重希土類の使用量を従来品より60%減らしたという。重希土類はランタン、イットリウムなど希少性が高い金属(レアアース)であり、スマートフォンやバッテリーなどに不可欠だが、環境汚染の「主犯」としても挙げられることがある。

LGイノテックは、今回の新製品の開発により、中国や日本が主導するマグネット業界を攻略するきっかけを築いたと説明している。韓国はレアアースの大部分を中国に依存しているがそれを少なからず解消でき、マグネット市場で世界最高の競争力を持つ日本を追い上げることができるという意味だ。

画像提供:LGイノテック

LGイノテックの新製品は、家電・自動車のステアリングモーター用磁石の性能を世界最高水準となる14.8kG(キロガウス・マグネット世紀単位)まで引き上げられた。業界で技術的性能限界値とみられている15kGに迫る数値を出したと同社は強調した。現在商用化されている製品の性能は14.2〜14.3kGだ。

このマグネットを車両用ステアリングモーターに適用すれば軽量化に有利であり、高画素スマートフォン用カメラに装着するとアクチュエータ(焦点を合わせるためにレンズを動かす部品)の駆動力を高め、クリアで鮮明な高画質画像と動画を撮影することができると同社は説明している。

マグネット分野は、これまで日本が世界最高の技術力で、中国は価格競争力で市場を主導してきた。 LGイノテックは、従来の開発方法では日本の技術力に短期間に追いつくことができないと判断し、マシンラーニング(コンピュータがデータを学習して、自動的に判断して結果を出すAI技術)方式のシミュレーション手法を導入し、少なくとも2年以上かかる開発期間を半分に短縮した。

LGイノテックは、世界の完成車メーカーや自動車用部品企業、スマートフォンメーカーを対象に積極的なプロモーションを広げる計画だ。適用分野もエアコン、冷蔵庫、ドローン、都心型フライングカー、発電機などで急速に拡大していく方針である。希土類を必要としてない無希土類磁石の開発にも速度を出す計画だ。

カン・ミンソクLGイノテック最高技術責任者(CTO・副社長)は、「革新的な技術で重要な素材を短期間に開発し、最高の性能と品質を備えた製品を顧客に安定的に供給できるようになった」とし、「環境にやさしいマグネットを使用して、差別化された価値を継続して提供したい」と述べた。

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