「親ガチャ」は不謹慎ワードなのか ネットで連日激論、芸能人も続々「参戦」

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親ガチャ――。

どんな親の元に生まれてくるか、自分では選ぶことができない、とする考え方を表した言葉だ。ネット上では連日、この言葉の「是非」をめぐり議論に。芸能人たちも様々な意見を寄せ、話題になっている。

「格差が深刻に」「子供達には広まってほしくない」

ネットで流行している言葉などを解説するサイト「実用日本語表現辞典」は、「親ガチャ」を次のように説明している。

「子どもの立場から『親は自分では選べない』『どういう境遇に生まれるかは全くの運任せ』と述べる表現。ソーシャルゲームにありがちなキャラクター入手方法(いわゆるガチャ)になぞらえた言い方」

2021年9月7日、「親ガチャ」という言葉を取り上げた現代ビジネスの記事『格差拡大、貧困増大...それでも「若者の生活満足度」が高いこれだけの理由】』が話題を呼んだ。

内容は若者の間で「親ガチャ」に外れたことを嘆く声が聞かれる一方で、若者の生活満足度は以前よりも高まっている、というものだ。筆者の筑波大学教授・土井隆義氏は、相対的貧困率の上昇を受けた、人生に対する「諦観」の高まりから、現状を受け入れる若者が増えている、と考察している。

この記事を発端として、「親ガチャ」という言葉の是非が連日SNSやインターネット掲示板などで議論になっている。例えばツイッター上では、こんな意見が聞かれている。

「納得できる言葉」

「自分も親ガチャ失敗した民」

「言葉の善し悪しは別にして実際あるでしょうね」

「それだけ格差が深刻になってる、貧困層が増えてるって事じゃないのかな」

一方で、こんな意見も聞かれている。

「言葉として最悪」

「子供達には広まってほしくない」

「それ言い出したら『子ガチャ失敗』も成立しちゃう」

「自分の生命に関わることを軽率に『ガチャ』と言ってのける破滅的な倫理観が問題」

小山慶一郎「なんか、嫌な言葉ですね」

現代ビジネスの記事は9月9日放送の「バラいろダンディ」(TOKYO MX)でピックアップされ、番組に出演した芸能人たちが意見を示した。

「親ガチャ」という言葉に対し、ジャニーズのアイドルグループ「NEWS」の小山慶一郎さん(37)は「なんか、嫌な言葉ですね」「親ガチャってワードが嫌だな、まずなんか。ショックだよね、(親が)聞いたら」と嫌悪感を示した。

ドラァグクイーンとしても活動するタレントのナジャ・グランディーバさん(47)は「やっぱりさ、例えば金持ちの友達がいたりとかしたら『あの家に生まれたかったな』って、私は思うと思うんですよ、やっぱり」と思いを述べた。その上で、

「でも、それは仕方ないじゃないですか。金持ちの子はそれなりにストレスもあったりすると思うし、思うことはあっても、親はやっぱり必死に育ててくれたわけですから。思うことはあっても、親ガチャとか、親にそんなことを言うのは絶対ダメやなって思いますね」

と語った。

元フジテレビアナウンサーで、現在はシングルマザーとして娘を育てている大島由香里さん(37)は「親の身としては、親になってからこそ親のありがたみとか、すごさとか身に沁みて感じる」と語る。さらに、学生たちに向けて、こんな言葉を投げかけた。

「今『親ガチャ』っていう風に言っている学生たちは、自分が親になったとき、この発言を後悔するだろうなって思いますね。学生として普通に暮らして生きていることが、いかに親の努力というか、一生懸命な努力があっての生活なんだよっていうことが、いかにすごいことか、っていうのは学生だとわかんないのかな、っていうのは、ありますけれど。絶対、親になったら『なんてこと言ってしまったんだろう』と思うだろうなって思いますけどね」

ひろゆき「恵まれた環境で育った人の驕り」、乙武「どんなガチャを引いても...」

この「バラいろダンディ」出演者の意見に12日、ツイッター上で反論したのが、ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき(西村博之)さんだ。

ひろゆきさんは厚生労働省が8月に発表した、令和2年度の児童相談所の児童虐待対応件数が、過去最多の20万5029件を記録したことに触れ、以下のような主張を示した。

「子供は減ってるのに、児童虐待が増えてるわけです。ひどい親がいる現実をほっといて『親ガチャ』という言葉を使うのは良くないとか言ってるのは、恵まれた環境で育った人の驕りだと思うおいらです」

「ガチャ」という考え方を認めつつ、異なる観点から意見を示した人もいる。ベストセラー『五体不満足』(講談社)で知られる作家の乙武洋匡さんだ。乙武さんは8日、自身のツイッターでこう語っている。

「私は『肉体ガチャ』に外れた。きっと他のガチャに外れた人もいるだろう」

先天性四肢欠損の障害を持つ乙武さんは、自身も「ガチャ」が外れた人間だとする。その上で、「ガチャ」があることを前提とした社会の在り方について意見を示した。

「私は、どんなガチャを引いても豊かに生きられる社会にしたい。それには、とにかく選択肢を増やすこと」

「ましてや、たまたま引いたガチャが大外れだったことで、『人生詰んだ』なんてことだけは避けたい。『いろいろ違いはあるけど、どのガチャを引いても魅力的』という世界観にしていきたいですよね。私たちのためにも。何より次の世代のためにも」