「世界体操」10月に有観客開催へ 渡辺会長「五輪でできななったことを少しでも実現したい」

FIGの渡辺守成会長

10月に開催される「2021世界体操・新体操選手権北九州大会」の新型コロナウイルス対策会議が13日に行われ、開催地(福岡県)の感染状況の推移などを鑑みた上で「有観客開催」の方針が確認された。15日の同大会組織委員会総会で正式決定となる。

今大会はFIG設立(1881年)以来、史上初の体操と新体操の世界選手権同時開催。62か国、約920人が参加する体操は10月18~24日(北九州市立総合体育館)、49か国、約630人が参加する新体操は同27~31日(西日本総合展示場新館)の日程で行われる。体操では東京五輪で2つの金メダル(個人総合、種目別・鉄棒)を獲得したニューヒーロー橋本大輝(順大)、ロンドン&リオ大会2連覇の内村航平(ジョイカル)による〝新旧キング対決〟が見どころだ。

大会開催にあたっては当初から「通常開催、一部開催、延期、中止の全ての可能性を排除しない」を基本方針とし、この日の会議では福岡県内の感染状況の推移、医療ひっ迫具合、ワクチン接種状況などさまざまな検証がなされた。

FIGメディカル委員長の岩崎安伸氏は「9月に入って全国的に新規感染者は減ってきている」とした上で、第4波のピークと現状の数値を比較して「今から6~8週間後、10月後半であれば現在の病床使用率の約10~20%程度となり、医療逼迫率は低下しているのではないかと推測される」と話した。今後も継続して感染状況を注視し、あらゆる可能性を視野に入れて結論を出していくという。

FIG渡辺守成会長は「東京五輪ではさまざまな自治体、企業がいろいろなことをやりたかったと思うが、コロナによって10分の1もできなかった。五輪でできなかったことを少しでも実現し、一歩でも前に進んでいきたい」と大会開催への思いを口にした。

コロナ禍で東京大会開催が危ぶまれた昨年11月、FIGは国際交流大会を東京・国立代々木競技場で開催し、東京五輪開催への大きなうねりをつくった。渡辺会長によると、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長から「一度は閉じかけた東京五輪への扉を体操がこじ開けた。この大会は東京五輪のレガシーとして、扉をしめてほしい」とのメッセージを受け取っているという。

今後の感染状況次第で開催方式が変化する可能性はあるが、橋本と内村の〝そろい踏み〟がファンの前に行われることが現実味を帯びてきた。

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