「早く誰かが追い抜いて、ランキングから自分の名前が消えてほしい」。今月2日に一軍デビューを果たしたソフトバンクの大砲候補・リチャード内野手(22)の言葉だ。
ランキングとは、二軍の主要打撃成績のことを意味する。リチャードは昨季、二軍で本塁打と打点の「2冠」を獲得。今季も12本塁打を放ち、ここまでウエスタン最多だ。1本差で正随(広島)、2本差でバレンティンがつけており、ランキングのトップを維持し続けている。
冒頭の言葉の真意はこうだ。「二軍でたくさん打っているということは、一軍に上がれていないということ。僕はもう二軍のタイトルはいらないんです。プロの戦場は一軍なんで、今年はそこに早くいかないといけない。今シーズンが終わった時に自分が二軍でタイトルを獲った記事をもう読みたくないんです」。心技体で成長は実感している。ただ〝二軍の帝王〟と化してしまえば、去年からの進歩はないと自分に言い聞かせていた。
そんな思いを吐露して3か月がたった今、リチャードは一軍でスタメン出場を続けている。5日のオリックス戦では満塁弾を含む2発6打点。ここまで8試合にスタメン起用され打率2割2分2厘ながら、3本塁打、10打点は長距離砲の魅力を十分に発揮している。
ウエスタンの全日程終了は9月末。〝二軍本塁打王返上〟が、かなうかは分からないが「一軍で一本打つ難しさも知りたい」とも語っていたリチャード。この先、ロマン砲は「一軍の壁」も望むところだ。