日産自動車(横浜市西区)とNTTドコモ(東京都)が今月、自動運転車両を使った国内最大規模の実証実験を横浜・みなとみらい21(MM21)地区周辺で開始する。スマートフォンで手軽に利用できる配車サービスを展開し、近未来の移動体験を提供。商用化に向けた具体的な道筋を探る。
「イメージは『バス以上タクシー未満』の交通手段ですね」
9月上旬に行われた試乗会で、日産の担当者はそう説明した。タクシーと違って乗降場所こそ限定されるものの、車両を好きなタイミングで呼び出せるため、バスよりも利便性の高いサービスだという。
◆現在地
実証実験では、MM21地区と、近接する横浜中華街(同市中区)に計23カ所の乗降地点を設定した。利用者は、スマホの専用サイトで乗り降りしたい地点を選び、出発地で配車を待つだけ。乗り込んで車内のボタンを押せば、自動運転で目的地まで運ばれていく。
車両には万が一に備えて運転手が同乗しているが、発進や停止、車線変更、右左折といった動作は自動運転の仕組みが担う。路肩駐車が目立つエリアをデータ化し、前方への割り込みなどを予期しつつ、可能な限り事前に危険を避ける機能も備えたという。
記者は、MM21地区の日産本社から横浜ワールドポーターズ前までの全長2キロ余りで自動運転を体験。5分足らずの短い時間とはいえ、滑らかな発進と停車、十字路交差点で対向車や歩行者が途絶えるのを待って右折する安全性などを実感した。
車内に設置された大型ディスプレーは、道路地図と自車の現在地だけでなく、走行予定のルートや周辺の車両位置、信号の状況などをリアルタイムで表示。ハンドルから手を離したままの運転手の様子も映し出し、自動運転技術の「現在地」も教えてくれた。