リンヴォックは、欧州連合初のJAK阻害剤として、欧州委員会がアトピー性皮膚炎の治療薬として承認

2021年9月10日
アッヴィ合同会社

リンヴォック(R)(ウパダシチニブ)について、欧州連合初のJAK阻害剤として、欧州委員会が中等症から重症のアトピー性皮膚炎の成人および青少年患者さんの治療薬として承認

●アトピー性皮膚炎を対象とした第III相試験としては最大規模のプログラムの1つである、リンヴォック(ウパダシチニブ)単剤療法または副腎皮質ステロイド外用薬との併用療法を評価する臨床試験結果に基づく承認1
●リンヴォックはすべての主要評価項目および副次評価項目を満たし、16週時およびそれ以前の時点で、プラセボと比較して、皮膚症状の改善とかゆみの軽減においてより早期かつ有意な結果を示す(p0.001)1
●16週時の結果が、52週時まで継続1
●リンヴォックの安全性プロファイルは、承認済み適応症である関節リウマチ、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)および強直性脊椎炎の臨床試験において延べ10,500人以上の患者さんに使用された際の評価と市販後の実臨床における経験に基づく2-9
●ECによる本承認はリンヴォックにおける4番目の適応症1

イリノイ州ノースシカゴ、2021年8月24日(米国時間)-グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE: ABBV)は、選択的かつ可逆的な経口JAK阻害剤であるリンヴォック(R)(ウパダシチニブ)について、全身療法の対象となる12歳以上の青少年および成人患者さんにおける中等症から重症のアトピー性皮膚炎に対して欧州委員会(EC)の承認を得たことを発表しました。成人のアトピー性皮膚炎患者さんに対するリンヴォックの推奨用量は、患者さんの症状に応じて15 mgまたは30mg(1日1回投与)です。青少年(12~17歳)および65歳以上の成人患者さんにおける推奨用量は15 mg(1日1回投与)です1。リンヴォックは単剤療法または副腎皮質ステロイド外用薬(TCS)との併用療法が可能です1。

アッヴィのバイスチェアマン兼プレジデントのマイケル・セヴェリーノ医学博士、M.D.は次のように述べています。「今回の承認は、アトピー性皮膚炎治療の進化を追求しているアッヴィにとって、記念すべき重要なマイルストーンです。治療の選択肢があるにもかかわらず、日常生活の中でかゆみや発疹に苦しんでいる多くの患者さんの負担を和らげるため、欧州で新たな治療選択肢を提供できることを非常にうれしく思います」

本承認は、アトピー性皮膚炎を対象とする最大規模の第III相試験プログラムの1つから得られた中等症から重症の2,500人以上の青少年および成人患者さんのデータに裏付けられています1。これらの試験では、リンヴォック単剤療法(Measure Up 1試験およびMeasure Up 2試験)および副腎皮質ステロイド外用薬との併用療法(AD Up試験)の有効性および安全性をプラセボと比較して評価しました1。いずれの試験でも、主要評価項目は16週時における湿疹面積・重症度指数のベースラインからの75%以上の改善(EASI 75)ならびに治験責任医師によるアトピー性皮膚炎の総合評価(vIGA-AD)スコア0/1(皮膚炎の消失またはほぼ消失)でした1。

トリニティ・カレッジ・ダブリン(アイルランド)の皮膚病学教授で、リンヴォックの臨床試験の治験責任医師であるアラン・アービン医師、M.D.、D.Sc.は次のように述べています。「25年以上にわたりアトピー性皮膚炎の研究と治療に携わっている皮膚科医として、この疾患が患者さんの日常生活に悪影響を及ぼすのを見てきました。臨床医は、この複雑な疾患の治療と管理に役立つより多くのツールを必要としています。リンヴォックの第III相臨床試験で示された皮膚症状およびかゆみの早期緩和を示す結果は非常に励みになります。この結果によって、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さんの治療目標を高められる可能性があります」

アトピー性皮膚炎の国際共同第III相臨床試験プログラムの主な結果1
第III相試験全体で、プラセボと比較して、15 mg投与群および30 mg投与群ですべての主要評価項目および副次評価項目を達成しました。主な結果は以下の通りです。

・リンヴォック15mg投与群(Measure Up1試験:70%、Measure Up2試験:60%、AD Up試験:65%)と30 mg投与群(Measure Up1試験:80%、Measure Up2試験:73%、AD Up試験:77%)において、プラセボ投与群(Measure Up1試験:16%、Measure Up2試験:13%、AD Up試験:26%)と比較して、より多くの患者さんが16週時のEASI 75を達成
・リンヴォック15 mg投与群(Measure Up1試験:48%、Measure Up2試験:39%、AD Up試験:31%)およびリンヴォック30 mg投与群(Measure Up1試験:62%、Measure Up2試験:52%、AD Up試験:59%)において、プラセボ投与群(Measure Up1試験:8%、Measure Up2試験:5%、AD Up試験:11%)と比較して、より多くの患者さんがアトピー性皮膚炎の総合評価(vIGA-AD)スコア0/1(皮膚炎の消失またはほぼ消失)を達成
・リンヴォック15 mg投与群(Measure Up1試験:52%、Measure Up2試験:42%、AD Up試験:52%)およびリンヴォック30 mg投与群(Measure Up1試験:60%、Measure Up2試験:60%、AD Up試験:64%)において、プラセボ投与群(Measure Up1試験:12%、Measure Up2試験:9%、AD Up試験:15%)と比較して、より多くの患者さんが16週時の臨床的に意義のあるかゆみの軽減(最悪のかゆみのNRSスコアが4点以上に改善)を達成
・リンヴォック両用量群の患者さんにおいて、プラセボを投与された患者さんと比較して、臨床的に意義のあるかゆみの軽減(最悪のかゆみのNRSスコアが4点以上に改善)および皮膚症状の改善(EASI 75)を1週時と2週時という早期に達成
・リンヴォックの両用量群の患者さんにおいて、16週時点の結果が52週時まで継続

リンヴォック15 mg投与群または30 mg投与群で特に多く報告された副作用(5%以上)は、上気道感染症(25.4%)、ざ瘡(15.1%)、単純ヘルペス(8.4%)、頭痛(6.3%)および血中クレアチンホスホキナーゼ上昇(CPK; 5.5%)でした1。最も多く報告された重篤な副作用(1.0%未満)は、重篤な感染症でした。

この製造販売承認は、欧州連合の全加盟国、ならびにアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよび北アイルランドで承認されたことを意味します。リンヴォックは、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の治療薬として、ロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ニュージーランドおよびチリで承認され、現在、米国食品医薬品局(FDA)による審査中です。

*10,500人の患者さんには、関節リウマチを対象とする8試験、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)を対象とする2試験、強直性脊椎炎を対象とする1試験およびアトピー性皮膚炎を対象とする5試験の第III相試験のすべての投与群(実薬治療およびプラセボ)の患者さんが含まれます2-9。これには、アトピー性皮膚炎を対象とする第III相Measure Up 1試験、Measure Up 2試験およびAD Up試験の青少年(12~17歳)患者さん344人も含まれます1,2,5。これらの試験に組み入れられた総患者数のうち6,280人がリンヴォックのいずれかの用量群に無作為に割り付けられました2-9。

リンヴォック(R)(ウパダシチニブ)について
アッヴィの科学者が発見し開発したリンヴォックは、選択的かつ可逆的なヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤で、複数の免疫関連炎症性疾患を対象に研究が行われています。ヒトの細胞を用いた分析系において、リンヴォックは機能的選択性を示し、JAK2を介してシグナルを伝達するサイトカイン受容体と比較して、JAK1またはJAK1/3を介するシグナル伝達を選択的に阻害しました。リンヴォック15 mgは、中等度から重度の活動性関節リウマチの成人患者さんの治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けました。また、中等度から重度の活動性関節リウマチの成人患者さん、活動性関節症性乾癬(活動性乾癬性関節炎)の成人患者さん、活動性強直性脊椎炎の成人患者さんの治療薬として、欧州医薬品庁(EMA)の承認を得ています。関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、体軸性脊椎関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、巨細胞性動脈炎および高安動脈炎を対象とするリンヴォックの第III相臨床試験が進行中です12-20。

EUにおけるリンヴォック(R)(ウパダシチニブ)の重要な適応症および安全性情報1

関節リウマチ
リンヴォックは、1種類以上の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)に効果不十分または不耐性の中等度から重度の活動性関節リウマチ成人患者さんの治療に適応されます。本剤は、単剤療法またはメトトレキセートとの併用療法として使用することができます。

関節症性乾癬(乾癬性関節炎)
リンヴォックは、1種類以上のDMARDに効果不十分または不耐性の活動性関節症性乾癬(活動性乾癬性関節炎)の成人患者さんの治療に適応されます。本剤は、単剤療法またはメトトレキセートと併用療法として使用することができます。

強直性脊椎炎
リンヴォックは、既存の治療で効果不十分な活動性強直性脊椎炎の患者さんの治療に適応されます。

アトピー性皮膚炎
リンヴォックは、全身療法の対象となる12歳以上の青少年および成人の中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さんの治療に適応されます。

禁忌
本剤の有効成分または添加物に対して過敏症を有する患者さん、活動性結核(TB)または活動性の重篤な感染症を有する患者さん、重症の肝機能障害を有する患者さんおよび妊娠中の患者さんには投与しないでください。

警告および使用上の注意
免疫抑制薬
他の強力な免疫抑制剤との併用は推奨されていません。

重篤な感染症
ウパダシチニブを服用している患者さんで重篤な感染症が発生しており、これらの感染症による死亡例もあります。主な重篤な感染症は、肺炎および蜂巣炎です。細菌性髄膜炎が報告されています。ウパダシチニブを投与された患者さんにおいて、日和見感染症のうち結核、多発性帯状疱疹、口腔/食道カンジダ症およびクリプトコッカス症が報告されています。65歳以上の患者さんにおいて感染症の発現率が高いため、こうした患者さんへの投与を行う際は注意が必要です。

ウイルスの再活性化
臨床試験において、帯状疱疹を含むウイルスの再活性化が報告されています。ウパダシチニブを投与された日本人の患者さんにおいて、帯状疱疹のリスクが高いと考えられています。

ワクチン接種
ウパダシチニブの投与期間中または投与開始直前に生ワクチンを接種することは推奨されていません。患者さんは、最新の予防接種ガイドラインに従い、ウパダシチニブの投与開始前に、帯状疱疹ワクチンを含むすべての予防接種を受けるよう指導することが推奨されています。

悪性腫瘍
関節リウマチ(RA)患者さんでは、リンパ腫を含む悪性腫瘍のリスクが増加します。ウパダシチニブを投与された患者さんで、非黒色腫皮膚がん(NMSC)を含む悪性腫瘍が報告されています。治療が奏効したNMSC以外の悪性腫瘍を有する患者さんにウパダシチニブ投与する前、また悪性腫瘍が新たに発現した患者さんにウパダシチニブ継続投与を検討する際は、ウパダシチニブを投与するリスクとベネフィットを検討する必要があります。

血液学的異常
患者さんの管理において血液学的異常が認められた場合は、投与を開始しないか、一時的に投与を中断してください。

心血管リスク
RA患者さんは、心血管疾患のリスクが高くなっています。ウパダシチニブの投与を受ける患者さんでは、通常の標準治療の一環としてリスク因子(例:高血圧、高脂血症)を管理してください。

脂質
ウパダシチニブの投与に伴い、総コレステロール、低比重リポ蛋白コレステロールおよび高比重リポ蛋白コレステロールなどの脂質パラメータの用量依存的上昇が認められています。

肝トランスアミナーゼ上昇
プラセボと比較して、ウパダシチニブを投与された患者さんは肝酵素上昇の発現率が高かったことが認められています。

静脈血栓塞栓症
ウパダシチニブを含むJAK阻害剤を投与された患者さんにおいて、深部静脈血栓症(DVT)および肺塞栓症(PE)が報告されています。DVT/PEのリスクが高い患者さんには、ウパダシチニブを慎重に投与する必要があります。

副作用
関節リウマチ、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)および強直性脊椎炎を対象とした臨床試験でウパダシチニブ15 mgを投与された患者さんにおいて報告された主な副作用(1つ以上の適応症で2%以上)は、上気道感染症、血中クレアチンホスホキナーゼ(CPK)増加、アラニントランスアミナーゼ増加、気管支炎、悪心、咳嗽、アスパラギン酸トランスアミナーゼ増加および高コレステロール血症でした。

アトピー性皮膚炎を対象とした臨床試験でウパダシチニブ15 mgまたは30 mgを投与された患者さんにおいて報告された主な副作用(2%以上)は、上気道感染症、ざ瘡、単純ヘルペス、頭痛、CPK増加、咳嗽、毛包炎、腹痛、悪心、好中球減少症、発熱およびインフルエンザでした。

強直性脊椎炎
全般的に、ウパダシチニブ15 mgを投与された活動性強直性脊椎炎患者さんで認められた安全性プロファイルは、RA患者さんで認められた安全性プロファイルと一貫していました。

関節症性乾癬(乾癬性関節炎)
全般的に、ウパダシチニブ15 mgを投与された活動性関節症性乾癬(活動性乾癬性関節炎)患者さんで認められた安全性プロファイルは、RA患者さんで認められた安全性プロファイルと一貫していました。ざ瘡および気管支炎の発現率が、プラセボ(それぞれ0.3%と2.7%)と比較して、ウパダシチニブ15 mgを投与された患者さん(それぞれ1.3%および3.9%)で高い結果となりました。ウパダシチニブとMTXの併用療法を受けた患者さんにおける重篤な感染症(それぞれ、2.6/100患者・年と1.3/100患者・年)および肝トランスアミナーゼ上昇(ALT上昇グレード3以上の割合がそれぞれ1.4%、0.4%)の発現率が、ウパダシチニブ単剤療法の患者さんよりも高くなりました。データは限られていますが、65歳以上の患者さんにおいて重篤な感染症の割合が高くなりました。

アトピー性皮膚炎
ウパダシチニブ投与に伴うALT増加および/またはAST増加(ULNの3倍以上)、脂質パラメータ、CPK値(ULNの5倍超)および好中球減少(ANCが1×109 cells/L未満)の用量依存的な変化は、リウマチ性疾患の臨床試験で観察された変化と同等でした。65歳以上のアトピー性皮膚炎患者さんの限られたデータに基づくと、ウパダシチニブ30 mg投与群による総合的な副作用の発生率が、15 mg投与群の場合と比較して高くなりました。青少年患者さんにおけるウパダシチニブ15 mg投与群での安全性プロファイルは、成人患者さんのものと類似していました。青少年におけるウパダシチニブ30 mg投与群の安全性および有効性は、まだ検討中です。

上記は、すべての安全性情報を完全に要約したものではありません。

添付文書の全文については、http://www.EMA.europa.euでリンヴォックの製品情報概要(SmPC)の全文をご参照ください。

世界各国で処方情報は異なります。完全な情報は各国の製品表示をご参照ください。

アッヴィについて
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