貧打・巨人に追い打ちかける無休状態・坂本勇人の〝パンク危機〟

14日は3番で出場。坂本への負担は増すばかり(東スポWeb)

巨人は14日のDeNA戦(東京ドーム)に2―3で手痛い逆転負けを喫した。好投した先発・山口俊投手(34)が危険球退場となる誤算もあったが、深刻なのは打線の得点力不足だ。9月に入り、1試合平均は「2・75点」と大ブレーキ。チームから唯一、東京五輪に出場し、無休状態の坂本勇人(32)への負担は増すばかりで、いよいよ〝パンク危機〟も迫りつつある。

流れを失ったのは1―1の7回だった。山口がソトへの頭部死球で退場となると、緊急登板した田中豊が牧に決勝2ランを被弾。2点のビハインドも今のG打線には重く、8回に代打・ハイネマンの適時打で1点を返すのがやっとだった。力で押し返せない展開の連続に、原辰徳監督(63)も「もうちょっと打線が点を、というところでしょうな」と嘆き節だった。

確かに、打線の復調は待ったなしだ。これで今月は12試合を消化して33得点。最多は5日の阪神戦(甲子園)の6得点で、10試合ぶりの白星をつかんだ12日の広島戦(マツダ)も2得点だった。投手陣の不調もあったが、得点力不足が2勝7敗3分けの大きな要因となっている。

このしわ寄せはフル稼働する坂本を圧迫し続ける。他球団関係者からも「坂本を休ませられないチーム状況は、原監督も頭が痛いところじゃないか? 疲労は半端じゃないだろう」との声も上がっている。球宴にも出場した坂本は侍ジャパンにチームでただ一人選出され、他のGナインが休養や再調整などに充てた中断期間中も、日の丸の重圧を背負いながら金メダル奪取に大きく貢献。そのまま後半戦に突入し、遊撃の激務をこなしながらこの日は5か月ぶりの3番打者としてフル出場した。

さらに、遊撃手のバックアップ要員にも不安を抱える。5日は6点リードの6回の守備から交代させたが、その後に遊撃の守備についた若林と広岡が相次いで失策。負け同然のドローに持ち込まれ、ますます坂本の存在の大きさが浮き彫りとなった。

その早めの交代理由は「連戦続きで彼(坂本)がずっと出っぱなしだったから」(原監督)。ただ、得点力不足と相まって、その後に坂本を試合途中で交代させられたのは9回に二塁打を放ち、代走を送られた11日の中日戦(東京ドーム)だけだ。坂本をベンチに下げれば、攻撃力も守備力も低下することは明白で、休ませようにも休ませられないジレンマに陥っている。

チーム状態が上向くのが先か、坂本の体が悲鳴を上げるのが先か…。この日はヤクルトが阪神と引き分けたため、巨人は一夜で再び3位に後退。中心選手の宿命とはいえ、逆転Vへ我慢の時が続く。

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