2年連続リーグ優勝遠のく痛恨の敗戦 自力V再消滅の鷹で気がかりな千賀の134球力投

ソフトバンク・千賀滉大【写真:藤浦一都】

8回に勝ち越しを許して敗戦投手になるも、工藤監督は「ナイスピッチングだと」

■ロッテ 3ー1 ソフトバンク(14日・PayPayドーム)

14日に本拠地・PayPayドームで行われたロッテ戦で1-3と敗れたソフトバンク。エースの千賀滉大投手を中5日で投入し、絶対に負けられない試合だったが、痛恨の敗戦に。自力優勝の可能性が再び消滅、ロッテと7.5ゲーム差に拡大したのも痛いが、それ以上に今後の戦いに暗い影を落とす敗戦となるかもしれない。

エースの必死の力投も報われなかった。初回に牧原大の先頭打者本塁打で1点を先制したソフトバンク。千賀は4回に角中に同点の適時打を許して追いつかれたものの、7回まで13個の三振を奪い、ロッテ打線を3安打1失点に封じていた。

だが、打線がロッテ先発のロメロの前に“スミ1”だけ。初回の1点以降、千賀を援護できずにいると、103球を超えて続投した8回に悪夢が待っていた。先頭の藤岡に中前安打を許すと、荻野に四球、代打の山口に右前安打を許して満塁に。中村奨は空振り三振に仕留めたものの、レアードに二遊間への適時内野安打を浴びた。5球連続でフォークを続け、フルカウントからの6球目のカットボールが打たれ、千賀は天を仰いだ。

敗戦投手となった千賀だが、この日の投球は責められるものではない。工藤公康監督も「自分の気持ち込めたボールを投げるんだ、ゼロで抑えるんだという意思も感じた。そういう思いを持って投げているというのは、ベンチで見ていても感じたし、負け投手にはなりましたけど、彼のピッチングはナイスピッチングだと思います」と語っていたように、魂のこもった投球は目を見張るもので、果たすべき役割は果たした。千賀自身は忸怩たる思いを持っているだろうが、援護の無さに泣かされた試合だった。

千賀はこの先も中5日で先発しフル回転する予定だが…

ただ、今後に向けて、気になる1敗となった部分もある。千賀はこの日、中5日ながら、134球を投げた。7回を投げ終えたところで103球。「本人も100ちょっとなので、いけるということでしたので、8回までと思っていました」(工藤監督)。1-1の同点という緊迫した状況でもあり、8回続投は考え得る選択肢。結果的に8回だけで31球を要することになり、今季最多の球数を投げることになった。

気になるというのは、この先の登板だ。来週、ソフトバンクは火曜に試合がない。千賀は予定通りであれば、2週連続の中5日で20日の楽天戦へと回り、その後も中5日での登板が見込まれていた。工藤監督は「残り試合も少なくなってきて、勝たなきゃいけない。いいピッチングをしてくれる人を優先して、というふうになってくる」と語っており、千賀とマルティネスの二本柱をフル回転するプランを語っていた。

この日は首位ロッテとの大一番で、しかも1点を争う接戦だった。千賀は大きなプレッシャーの中での投球となり、その中で134球を投げた。果たして、その疲労度がどれくらいの大きさなのか。ソフトバンクとしては、エースを1試合でも多くマウンドに上げたいところだろうが、負担の大きさが気になるところでもある。

絶対に負けられなかったロッテとの3連戦初戦を落とすことになったソフトバンク。自力Vが再び消滅することとなったものの、工藤監督は「勝敗はベンチの責任。選手たちは持っている力を100%出して、思い切ってぶつかっていって欲しいし、燃えるもの持ってまた明日挑んでほしい。このゲーム差が届かないかと言えば、全然、逆転のチャンスはあるんじゃないかな、と思っている」と強気の姿勢を崩さなかった。2年連続のリーグ優勝が遠のきつつあるソフトバンク。ここからの巻き返しは叶うだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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