長崎大 国産ワクチン開発へ 中国の大学などと共同で 年内完成目標

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開発中のワクチンの培養細胞を手にする田中センター長=長崎市坂本1丁目、長崎大先端創薬イノベーションセンター

 長崎大などの研究グループが「遺伝子組み換えタンパクワクチン」の技術を用いた新型コロナウイルスワクチンを共同開発していることが14日、分かった。中国・四川大が既に自国内で大規模な臨床試験(治験)を実施中。長崎大はさらに改良を加えて安全性を高め、乳幼児にも打てる「国産ワクチン」の年内完成を目指す。

 共同開発中のワクチンは、ウイルスが人の細胞に侵入する際に使う「スパイクタンパク質」の一部だけを人工的に作成。人に投与し、ウイルスを包み込んで無効化する抗体を体内で作り出す。長崎大によると、中国では最終(第3)段階として数万人規模の治験を進めており、来年にも実用化する見通しという。
 長崎大は昨年5月から、四川大、医療イノベーション推進センター(神戸市)と共同研究。日本国内での治験に必要な手続きを進め、8月中旬、日本の審査機関、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から承認された。中国で開発中のワクチンの治験が日本国内で行われるのは初めて。
 8月下旬からは、大阪府内で四川大のワクチンの安全性や効果などを確認する第1、第2段階の治験に着手。240人の健康な人に投与する。このデータを国産化にも生かす。
 長崎大の先端創薬イノベーションセンターの研究室で現在、四川大のワクチンの培養細胞を改良中。製造方法も変更する。遺伝子組み換えタンパクワクチンはコロナ以外でも実用化されている。副反応リスクが低いため、長崎大は乳幼児にも接種できるようにする。
 田中義正センター長(免疫学)は、中国には重症急性呼吸器症候群(SARS)など新興・再興感染症ワクチンの研究開発の実績があるとして「四川大のワクチンも安全性が高い」と強調。その上で「これをさらに改良できるメリットは大きい。完成後は国内の製薬会社とも連携し、実用化までつなげたい」と話している。