シーズン途中の補強が“大当たり” 首位快走のロッテで見逃せないフロントの慧眼

ロッテ・井口監督【写真:荒川祐史】

14日のソフトバンク戦に勝ち、オリックスに3ゲーム差をつけたロッテ

ロッテが2005年以来、16年ぶりのリーグ優勝に突き進んでいる。14日のソフトバンク戦に3-1で競り勝ち、引き分けを挟んで6連勝。2位のオリックスに今季最大の3ゲーム差をつけ、優勝争いから抜け出しつつある。ここ最近の戦いぶりは投打の歯車ががっちりと噛み合っている。

特に後半戦に入って、勢いが増している。東京五輪の中断期間が明け、ペナントレースが再開されてから、26試合で16勝6敗4分。勝率は7割を超えており、後半戦25試合で10勝11敗4分と足踏みしているオリックスを抜き去った。石川や美馬、二木ら中心となるはずの投手が本来の調子ではない中で、首位を走り出した。

後半戦の好調ぶりを支えているのは主砲のレアードや、打撃好調の藤岡、中核を担う荻野や中村奨、守護神の益田や若き右腕・佐々木朗らの働きが欠かせない。それに加えて、目を見張るのはシーズン中に加入した“新戦力”の大当たりぶり。補強の成功がこの快進撃の一因となっている。

6月のトレードで獲得した国吉と加藤匠が貴重な戦力に

投手陣ではブルペンを支える国吉佑樹投手の存在が大きい。6月14日に有吉優樹投手とのトレードでロッテに加入した国吉はシーズンが再開となった8月13日に初の1軍昇格。セットアッパーのポジションを任されると、ここまで13試合に登板して2勝0敗8ホールド、防御率1.38と好投。現在8試合連続無失点中と安定感を見せている。

トレードで獲得した加藤匠馬捕手も正捕手の座を掴みつつあり、今ではなくてはならない存在に。国吉のトレードから2日後の6月16日に加藤翔平外野手とのトレードで中日から加入すると、すぐさま1軍での戦力に。“加藤バズーカ”と称された強肩が武器として知られていたが、リード面でも高く評価されている。

国吉はDeNAで今季18試合に登板して防御率5.16。加藤匠に至っては今季1軍出場なし、とファームで燻っていた。この2人が見事に戦力となり、トレードとしては大成功だったと言える。

ロメロ、エチェバリア、小窪も揃って1軍で戦力に

また、東京五輪の中断期間中に加入が決まった元中日の左腕ロメロもローテの一角を担う。150キロ台の力のある真っ直ぐに、スライダーやチェンジアップを駆使し、4試合に先発。白星こそ1勝だけながら、防御率1.54と好投を続けており、台所を支える貴重な先発投手となっている。

開幕直後の4月に入団したエチェバリアは打率.191と打撃面では期待を裏切っているものの、守備面での貢献度は高い。14日のソフトバンク戦でも、途中出場してすぐに中前へと抜けようかというゴロをキャッチしてピンチの拡大を防いだ。広島を退団、火の国サラマンダーズでプレーし、支配下登録期限ギリギリに加入が決まった小窪もデビュー戦でいきなり本塁打を放った。

シーズン途中加入の選手がこれほどまでに1軍で戦力となり、チームの欠かせぬ存在となることは珍しい。チームを率いる首脳陣、そしてプレーする選手たちの奮闘ぶりはもちろん、的確な補強戦略を実行したフロントの慧眼も今のロッテの見逃せないポイントだろう。(Full-Count編集部)

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