「角田の“クラッシュ期間”は終わった」とアルファタウリF1代表。残留決定で自信を深め、向上することに期待

 スクーデリア・アルファタウリF1のチーム代表フランツ・トストは、2022年にピエール・ガスリーのチームメイトとして角田裕毅を残留させることに迷いはなかったと語った。前半戦、ルーキーの角田が何度かクラッシュしたことは問題視していないが、学びながら時にクラッシュを喫するような時期はもう終わりだとして、今後のさらなる向上に期待しているという。

 9月7日、アルファタウリは2022年のドライバーラインアップとしてガスリーと角田のペアを継続することを発表した。直後のイタリアGP中の記者会見において、「現在のドライバーラインアップを維持することに全く迷いはなかったか」と聞かれたトストは、「私個人としては、迷いはなかった」と答えた。

2021年F1第12戦ベルギーGP 角田裕毅、ピエール・ガスリー、フランツ・トスト代表(アルファタウリ・ホンダ)

「今のF1でルーキーをデビューさせる場合、時間を与える必要があるからだ。F1は非常に複雑で難しい。若いドライバーがデビューしてすぐに、経験あるドライバーたちをリードするようなことは期待してはならない」

「裕毅はここまでのところそれなりにいい仕事をしている。速さがあるドライバーだ。ブダペストでは6位でフィニッシュ、デビュー戦のバーレーンでは9位に入った」

「何度かクラッシュしたが、私は常にこう言っている。『クラッシュする期間は教育プロセスの一部だ』とね。クラッシュが許されないのであれば、ドライバーはどうやって限界を見つけるのだろう」

「だが今は、このクラッシュの期間はもう終わったと思っている。シーズン後半が楽しみだ。若いドライバーたちにとっては、アメリカやメキシコ、サンパウロ、トルコといった知らないサーキットが続くので、楽ではないだろう。サウジアラビアはF1初開催だから、我々がしっかり作業をして彼をいい状態に持っていく必要がある」

「チームメイトのピエール・ガスリーは、今のF1で最速のひとりだ。裕毅はガスリーのそばでたくさんのことを学び、データを比較することができる。彼は自分のスキルを利用して、ガスリーとのギャップを縮めていけると、私は考えている。来年のこのドライバーラインアップに期待している。新しい世代のマシンが導入される年に、少なくともドライバーが継続となることは、チームにとって重要なことだ」

2021年F1第14戦イタリアGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

 早い段階で来季契約が確定したことで、角田は後半戦を戦っていく上で自信を深めることができると思うかと聞かれ、トストは「もちろんそれは助けになる。彼は、チームがそばについている、ということが分かっているわけだからね」と答えた。

「シーズン後半は、知らないサーキットで走ることになり、簡単にはいかないだろう。それでも今、彼はパフォーマンスを改善しつつあり、いい仕事をしている。それと同時に自信を深めていくことだろう」

「F1カーで高速でクラッシュすると、そこから立ち直るのは簡単なことではない。だが、裕毅なら、周回を重ねていけば、自信を取り戻すことができるだろう」

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