2年ぶり2桁勝利の西武・高橋光成 「めちゃくちゃ」と表現した3つのこととは?

14日の日本ハム戦で2桁勝利に乗せる10勝目をマークした高橋

■西武 3ー1 日本ハム(14日・メットライフ)

14日に本拠地メットライフドームで行われた日本ハム戦で今季10勝目をマークした西武の高橋光成投手。6回を投げて、3安打1失点(0自責点)に抑えて2年ぶりの2桁勝利に到達した。もっとも、初の開幕投手を務めてエースの自覚が芽生えた今季の高橋にとっては、まだまだ通過点。その内容は2年前と大きく異なる。

立ち上がりは、辻発彦監督が「光成の調子が良くなくて、どうなるかと思いながら見ていた」と吐露したほど。制球が安定せず、1回は24球、2回は29球を要したものの、得点は与えなかった。尻上がりに状態を上げていき、4回以降はイニングごとの投球数を12球、9球、14球に抑えた。

「最低限ゲームは作れたかな。球数はできれば少ない方がいいし、序盤は慎重になり過ぎた部分もあったかもしれませんが、今日の調子ならあれで良かったと思います」

初の2桁勝利を挙げた一昨年(10勝6敗)は、規定投球回数に届かず、防御率も4.51で味方の“山賊打線”に助けられたところが大きかった。防御率3.22を誇る今季は、大崩れすることが少ない。この日のように調子がイマイチでも、粘り強く試合を作り、辻監督も「ずっと先発ローテを守って投げてくれている。いい時も悪い時もあるが、先発で1番安定している」と認めている。

「めちゃくちゃ楽しかった」同学年の佐藤龍世との対決

その高橋が「めちゃくちゃ」と表現した3つのものあった。まず「めちゃくちゃ楽しかった」もの。同学年で8月にトレードで移籍したばかりの佐藤龍世内野手との対決だ。2回1死走者なしでの対戦では8球目のカットボールを打たせて投ゴロ。4回1死走者なしでも、再びカットボールを引っかけさせ三ゴロに仕留め「一緒にご飯に行ったりした仲で、自然に力は入りました」と笑った。

「めちゃくちゃ助かりました」と語ったのは、岸潤一郎外野手のファインプレーだ。3回、1点差に迫られた直後の1死二塁で、野村の打球は右中間寄りの飛球となった。二塁走者の西川がタッチアップで三塁を狙ったが、こちらも同学年の岸がノーバウンド送球で刺し「あれがアウトかセーフかは大違い。めちゃくちゃデカイ」と感謝感激。敵でも味方でも、同学年への思いは格別のようだ。

一方で「めちゃくちゃ意識しました」というのが、後輩の先発投手の存在。11日のオリックス戦で今井達也投手がチーム初の完封勝利を挙げ、翌12日の同カードでも20歳の渡邉勇太朗投手が5回1失点の好投で連勝を飾った。高橋はこの2人に続く形で先発し「西武は先発が……って、ずっと言われてきたけれど、今井と勇太朗が頑張ってくれて、僕も流れに乗ることができました」と語った。

西武のチーム防御率は昨年まで4年連続リーグワーストで、今季も4.06でリーグワースト(14日現在)。特に先発陣が手薄と評され続けているだけに、高橋は忸怩たる思いを抱いてきた。「みんなで頑張るというか、相乗効果で全発みんながよくなっていけばいい」。現在リーグ5位で、残り32試合に上位浮上をかける西武のエース。投手陣全体を底上げしていこうとする、強い意志がうかがえる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2