社説:北朝鮮ミサイル 情報共有し対策講じよ

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 北朝鮮核問題への対応を検討するため、きのう東京で行われた日米韓高官の協議に、照準を合わせたかのようだ。

 朝鮮中央通信が、北朝鮮国防科学院による新型長距離巡航ミサイルの発射実験が成功した、と報じた。ミサイルは、2時間以上にわたって1500キロを飛行し、目標に命中したとされる。

 これが事実ならば、日本列島の大半が射程圏内に入る。

 東アジア地域の平和と安全を脅かす暴挙であり、北朝鮮には自制を求めたい。

 日米韓の政府には、厳しい対処が求められよう。

 今回のミサイルは、発射台の付いた車両から打ち上げられ、北朝鮮領空に設定された楕円(だえん)と「8」の字形の軌道に沿って飛行したと報じられている。

 弾道ミサイルと併用し、攻撃や威嚇の能力を強める狙いがあるのだろう。

 今年1月の朝鮮労働党大会で、多様な核攻撃手段を拡大していく方針が示されており、それを実践する格好となった。

 憂慮されるのは、日米韓のいずれも、今回の発射を察知できなかったとみられることである。

 「米韓両軍は北朝鮮の報道で発射の事実を知った」との報道があったという。自衛隊も「内陸部で発射され、低空で飛ぶ巡航ミサイルをレーダーで捕捉するのは難しい」とする。

 高官協議で、日米韓は3カ国の連携強化を確認した。さらに、情報の収集と分析、共有に努め、巡航ミサイルに関して有効な対策を講じておくべきだ。

 これに関連して日本では、「敵基地攻撃能力」保有の是非についても、議論となりそうだ。

 北朝鮮は2018年に、核実験場の廃棄や大陸間弾道ミサイルの発射実験中止を掲げて、初の米朝首脳会談に臨んだ。

 しかし、翌年に交渉が決裂すると、ミサイル実験を繰り返すようになり、結果を公表している。

 今回は、中止を求めていた米韓軍事演習が先月、実施されたことを受けた挑発行為といえる。

 ただ、北朝鮮では、新型コロナウイルスの影響や食糧不足が深刻な状況とされている。

 弾道ミサイルとは異なり、国連安全保障理事会の決議違反に当たらない巡航ミサイルの実験にとどめた、との見方もある。

 こうした事情を十分考慮したうえで、北朝鮮との話し合いに向けた努力も怠ってはならない。