熊本県警の違法取り調べ訴訟 一部敗訴の県が上告断念

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 熊本地震の避難所で女児にわいせつ動画を見せたとして2016年5月、県警に逮捕され、家庭裁判所の審判で「無罪」に当たる不処分となった元少年の20代男性=熊本市=が県に損害賠償を求めた訴訟で、県は15日、違法な取り調べを一部認めて県に約16万円の支払いを命じた熊本地裁判決を支持した福岡高裁判決に対し、上告しないことを明らかにした。

 蒲島郁夫知事は「県の主張は認められなかったが、総合的に判断した。あらゆる県行政が適正に行われるよう努める」とのコメントを出した。県警監察課は「判決を真摯[しんし]に受け止め、同様の指摘を受けないよう適正捜査の指導を徹底する」としている。

 3月の熊本地裁判決は、取り調べで黙秘を始めた男性に警察官が「どんどん自分で不利になっている」などと発言したことについて、「黙秘権行使が不利益で社会的な非難に値すると誤解させかねず、黙秘権を実質的に侵害した」と判断。弁護士との接見内容を尋ねた発言も違法とした。福岡高裁は3日、双方の控訴を棄却した。

 男性側は、上告期限の21日までに対応を検討するとしている。代理人の松本卓也弁護士は「県の判断を受け止めたい。県警には再発防止にしっかり取り組んでほしい」と語った。(中島忠道)