定置網の混獲からウミガメ守れ 神奈川県、脱出装置開発のための実証実験に参画へ

相模湾

 神奈川県は14日、相模湾岸に産卵に来るウミガメが沿岸の定置網に迷い込み死んでしまうケースが多いことから、ウミガメを脱出させる装置の開発に向けた実証試験に参画する計画を明らかにした。実証試験は平塚市沖で行われ、定置網漁業とウミガメ保護の両立を図る。

 県水産課によると、ウミガメは国際希少野生動植物に指定され、ワシントン条約で国際商取引が原則禁止されるなど、国際的にも保護の機運が高い。相模湾に設置されている定置網にはウミガメが迷い込む例が毎年100件以上あり、網の形状によっては呼吸をすることができずに死んでしまうという。

 このため、水産庁が東京海洋大学に委託しているウミガメ脱出装置の開発事業に県水産技術センターも参画。ウミガメが呼吸をする際に海上に浮上する行動を利用し、網の上部に設けた長さ約1.5メートルの開口部からウミガメを脱出させる手法だ。

 しかし、網に入った魚も同時に逃げてしまうといった課題があり、平塚市沖で操業する定置網漁業者らの協力も得て来年2月から実証試験を開始。捕獲した魚の逃避とウミガメの脱出効率を評価し、産卵期となる初夏までに装置の改良を進めたい考えだ。

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