二軍で打率5割7分の巨人・中田翔に〝最短復帰待望論〟 最終盤の起爆剤は「一発の魅力」

二軍で大爆発する中田翔の早期復帰を望む声は多い

久しぶりの会心Vだ。巨人は15日のDeNA戦(東京ドーム)で2点を追う9回に3点を挙げ、7―6の逆転サヨナラ勝ち。最後は岡本和真内野手(25)の犠飛で決めた。得点力不足に悩まされた打線がようやく火を噴いたが、優勝争いは今後ますます激しさを増してくる。さらなる起爆剤として二軍で大爆発中の中田翔内野手(32)に、いささか早すぎる〝最短復帰待望論〟が持ち上がっている。

執念の逆転劇だった。9回に2点差を追いつき、なおも一死満塁で岡本和の自己最多に並ぶ100打点目となる左犠飛で決着。停滞ムードから解き放たれたナインは喜びを爆発させ、ウオーターシャワーを浴びた主砲はビショビショだ。

小林以外の野手を使い切った原辰徳監督(63)は「やっぱり中心選手がやってくれるとチームは勢いがつく」とえびす顔で、坂本は2打席連発を含む3安打4打点、岡本和も37号ソロを含む3安打2打点の暴れっぷり。さらに、この日は〝脇役たち〟も猛奮起した。新助っ人のハイネマンはフェンスに激突する2度の好守に加え、9回は反攻の口火を切る中前打。この日初めて一軍に昇格した八百板は、9回に代打で出場して1点差に迫る中前適時打を放ち、ヘッドスライディングでサヨナラのホームを踏んだ。

ただ、原監督も「今日に関してはね。7点取ったのも久しぶりじゃないか?」としたようにまだまだ油断はできない。残り30試合となり、2・5ゲーム差に阪神、ヤクルト、巨人の3チームがひしめく優勝争いはさらに激しくなる。

そこで、最終盤の起爆剤として熱視線を集めているのが二軍再調整中の中田だ。一軍では打率1割5分で11日に登録を抹消されたが、二軍降格後はまるで別人のように大爆発。この日のイースタン・楽天戦(ジャイアンツ球場)では、7回に決勝の逆転3ランをかっ飛ばして4打数2安打4打点だ。まだ出場4試合ながら、これで打率5割7分1厘(14打数8安打)、2本塁打、10打点となり、球団関係者からは「やはり一発で勝負を決められるのは魅力的。早く調子を取り戻してきてほしい」との声が上がっている。

また、以前から「チャンスをもらった若手がなかなか一軍に定着できない」(同)との経緯もある。今季は野手36人のうち28人がすでに一軍出場を果たしたが、二軍で一定の結果を残してもほとんどが一軍の壁にハネ返されてきた。その点、中田の場合は経験も実績も十分で、二軍での好調ぶりをそのまま一軍で発揮する期待も持てるというわけだ。

中田がこのままの状態を維持し、原監督のゴーサインが出れば、最短で21日の広島戦(マツダ)から再登録が可能となる。激動の一年を送る中田の今後が見ものだ。

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