冬に仕込み、ひと夏かけ熟成させた秋の日本酒「ひやおろし」の出荷が始まった。「菊勇」の代表銘柄で知られる吉川醸造(伊勢原市神戸)では14日、菊をあしらったラベルをスタッフが手際よく貼っていった。
ひやおろしは、冬に仕込み春先に出来上がった新酒を火入れ(加熱処理)した後、蔵の中で貯蔵し、9月上旬~10月末に瓶詰めして出荷される。
日本酒は通常、貯蔵前と瓶詰め前の2回火入れするが、ひやおろしは貯蔵前の一度のみ。「冷や(常温)」のまま「卸す」ことから名付けられた。ほどよく熟成された分、新酒よりまろやかで口当たりも優しいのが特徴とされる。
吉川醸造のひやおろしはアルコール度数19度と高めで辛口だが、香りが良くコメのうまみも味わえて飲みやすいという。杜氏(とうじ)の水野雅則さん(43)は「日本酒のトレンドは低アルコールだが、新型コロナウイルス禍の家飲み用にあえて度数を高くした。ロックや燗酒(かんざけ)でも楽しめ、秋の夜長のお供にしてほしい」と話す。
「菊勇 純米ひやおろし 19」(720ミリリットル入り)は1595円。小売店のほか同社オンラインストアでも販売している。