働き方の変化に対応!「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が変更されました

日本の労働環境において、過労死は大きな課題のひとつです。
高橋まつりさんやNHK記者の件でも大きく取り上げられました。
そうしたなか、厚生労働省は「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」において20年ぶりに過労死ラインの見直しを行い、2021年7月16日に報告書を公表しました。

2021.08.17

要チェック!過労死ラインが20年ぶりに見直されます

ニュースなどで取り上げられ、「過労死」という言葉はかなり広まりました。 過労死とは、長時間の労働や 業務における過多な肉体的・精神的な負担により死にいたることを言い、長時間労働が習慣的になっている日本企業における特徴的...

厚生労働省ではもうひとつ、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、「大綱」)についても見直しを行い、2021年7月30日に大綱の変更が閣議決定されました
今回は、大綱の変更点をわかりやすく解説します。

見直しの経緯

そもそも大綱は、社会情勢や過労死をめぐる状況をふまえて、おおむね3年を目途に必要があると認めるときに見直しを行うとしています。
上記のような件もあり、世間的な関心や「どうにかしないと」という思いから、機運が高まっていることも見直しの理由のひとつと考えられます。
それでは実際にどんな見直し・変更がなされたのか確認していきましょう。

どんな課題がある? その対策方法は?

今回の見直しで主に挙がった課題と対策は以下のとおりです。

1. コロナ禍での長時間労働

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、医療現場や一部の職場では人手不足から過重労働が増えています。
そのため今回の変更で、新型コロナウイルス感染症への対応や働き方の変化による過労死等の発生防止が必要であることが明記されました。

対策の取り組み例として、以下が挙げられています。

・ 勤務間インタバール制度の導入
・ メンタルヘルス対策の取組が進んでいない中小規模の企業等に対する支援

2. ウィズコロナ時代の新しい働き方

新型コロナウイルス感染症の拡大は、テレワークやリモートワーク、フリーランス、副業・兼業など、さまざまな働き方を一気に進めました。
今までは「出社して仕事をする」一択だった人も、自分の状況に合わせて働き方を選べるようになったことはとても良い流れではある一方、これらの働き方の問題は、どうしても勤怠管理などがしにくくなることではないでしょうか。
この点に関して今回の変更では、テレワークなどについて以下のとおり取り組むとしました。

テレワーク:労務管理に関するルールなどを明確にしたガイドラインの周知、テレワークに対応したメンタルヘルス対策の手引きの作成等を行う
フリーランス:労働関係法令の適用関係を明らかにしたガイドラインの周知を行う
副業・兼業:労働時間の通算管理ルール等を明確化したガイド ラインの周知、一般健康診断等の健康確保に取り組む企業への助成金等の支援を行う

また、上記の働き方に対しても調査研究等の対象とし、新型コロナウイルス感染症の影響で、労働時間の状況やオンラインの活用などにどう変化があったかも分析するとしています。

過労死ゼロを目指し数値目標も

過労死を予防することはもちろん、その先の「過労死ゼロ」を目指して数値目標を設定しました。

2のインタバール制度に関しては、旧大綱の令和2年の実績をみると「知られてはいるけど導入していない」という状況のようです。
そこで新大綱では「知らなかった企業割合」をさらに減らしていくのはもちろん、導入推進に力を入れていく方向のようです。
6に関しては、2015年12月から始まったストレスチェックをやりっぱなしにせず、集団分析をしっかり確認して職場の状況把握・改善を進めるものです。
「産業保健新聞」を運営するドクタートラストでも独自の集団分析を開発し、より職場環境改善につながる分析結果を提供しています。

★ドクタートラストのストレスチェック集団分析★

超高齢化社会の日本では、働く世代の減少が顕著です。
そんななかで、大事な人材を過労死させてしまうことは、人手不足の問題はもちろん、「あの会社は従業員を大切にしない」と大きなイメージダウンにもなります。
どの会社も過重労働の対策に取り組んでいるとは思いますが、大綱の変更にあわせて以下を再確認してみましょう。

・ 現状の対策で問題ないか
・ 新たに導入したテレワークなどの働き方にも対応できる対策かどうか

<参考>
・ 厚生労働省「「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更が本日、閣議決定されました」

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