西武・栗山、2000安打達成後の打率は.391 逆転CS進出へ、ポイントゲッターの重責

西武・栗山巧【写真:荒川祐史】

ドローに持ち込む2打点に辻監督「状況に応じた打撃をしてくれる」

■西武 3ー3 日本ハム(15日・メットライフ)

プロ野球では節目の記録を樹立したベテラン選手が達成感から調子を落とし、現役引退へ向けて急加速――というケースもみられるが、西武の栗山巧外野手には当てはまらないようだ。NPB史上54人目の通算2000安打を達成したのが今月4日の楽天戦。翌5日の同カード以降、7試合で打率.391(23打数9安打、15日現在)と打棒は一層輝きを増している。

15日に本拠地メットライフドームで行われた日本ハム戦。栗山は2点ビハインドで迎えた5回、1死二、三塁の好機に日本ハム先発・伊藤から中犠飛を打ち上げ1点差に迫ると、8回無死二塁では4番手・井口から同点右前適時打。劣勢の試合を3-3の引き分けに持ち込んだ。

同点打は外角高めに浮いた初球のフォークを一振りでとらえたもので、辻監督は「状況に応じたバッティングをしてくれるのが栗山でね……。最悪でも引っ張って走者を進めようという打撃だったと思うが、それでもちゃんとタイムリーになったのだから見事」と感嘆する。

この日の試合前には、フランチャイズのファンの前で2000安打達成のセレモニーが行われ、野茂英雄氏から名球会入りを記念する濃紺のブレザーを贈られた。栗山は「憧れの野茂さんからこうして名球会のブレザーを授与していただき、この上ない喜びを感じております」とコメントした。

野茂英雄氏「お互い常識が合い、話すことを理解してくれる」

野茂氏がメジャーへ移籍し、日米球界に衝撃を与えた1995年当時、栗山はまだ小学6年生だっただけに、感激はひとしおだろう。栗山はプロ入り後、その野茂氏と自主トレを一緒に行うなど親交を結んだ。

憧れの人から「栗山選手は野手で、(私と)投打が違いますが、お互い常識が合い、私が話すことを理解してくれますし、栗山選手が話してくれることも(私自身)理解できる。年は離れています(15歳差)が、いい関係だと思います」と評されるまでになった。

実際のところ、栗山は満足感に浸っていられる状況ではない。“山賊打線”の状態はなかなか上がらず、栗山と中村剛也内野手のチーム野手最年長コンビにはポイントゲッターとして期待されるところが大きい。この日も1回に中前適時打を放ったのが中村で、2人で全打点を稼いだ。チームは依然5位に低迷しているが、大逆転CS進出へ向けて、プロ20年目・38歳のベテランはフル回転する。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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