若者は月いくら使っている?堅実に貯金、投資に前向き「10代の金銭感覚」

交友関係が広がるにつれて交際費もかかるようになってくる10代。毎月いくら収入があって、何に使っているのでしょうか。

10代の学生を対象に実施された金銭感覚に関する調査をひも解くと、半数以上が堅実に貯金をしていることがわかりました。大学生等の平均貯金額はなんと20万円以上。その一方で、投資をしている10代は仮想通貨やFXなど、リスクの高い資産を好む傾向があるようです。

いまの10代に必要なお金の知識とは何でしょうか。


アルバイトとフリマアプリで稼ぐ、10代の収入は?

SMBCコンシューマーファイナンスが15~19歳の学生を対象に実施した「10代の金銭感覚についての意識調査 2021」によると、ひと月あたり、高校生では平均1万653円、大学生等では平均3万5,388円の収入(お小遣い含む)があることがわかりました。ちなみに、お小遣いの平均金額は高校生では月3,547円、大学生等では月8,269円でした。

また高校生の3割、大学生等の6割が「お小遣い以外の収入がある」と回答。アルバイトによる収入のほか、10代の5人に1人はフリマアプリなどで、ひと月あたり平均2,471円の収入を得ているといいます。

月いくら使っている?一番お金をかけたいのは「交際費」

では、毎月いくらほど使っているのでしょうか。

ひと月に使っている金額は、高校生の平均が5,780円なのに対して、大学生等の平均は2万958円でした。

一番お金をかけたいものについて聞いたところ、全体の43.3%が「友人との交際」と回答。次に、「ファッション(34.3%)」「デートやプレゼントなどの恋愛(32.5%)」「外食(32.5%)」が続きます。

大学生の平均貯金額は20万円以上 貯金する理由とは?

次に、10代に預貯金をしているか聞いたところ、全体の53.1%が「している」と回答しました。預貯金の平均金額は、高校生では86,773円、大学生等では216,215円。10代の堅実な一面がうかがえる結果となりました。

貯金理由について、56.4%の人が「将来のため」と回答。「買いたいものがあるため」「一人暮らしをするため」など目的を持って貯金をする人が多くいる一方、長びくコロナ禍で先行きが不安なためか、「万が一のときのため」に備えとして貯金をする10代も少なくないようです。

10代が投資するのは株、仮想通貨、FX、スニーカー投資…

また投資についても聞いたところ、「している」と回答したのは全体の8.3%。「していないが、したいと思う」という回答も含めると、投資に前向きな人は44.0%に上りました。

投資をしていると回答した人に、実際に何に投資しているのか聞いたところ、「株式」が最も多く、「仮想通貨」「FX」「投資資託」「スニーカー」の順に続きます。投資に関してはリスクの高い資産を選ぶ人が多いようです。

「学生の時点でおよそ半数もの方々が投資に前向きになっているのはとても良い傾向ですが、短期売買や仮想通貨、FXなどはあまりおすすめしません」と話すのは、親子向けの金融教育イベント「Geek養成塾」を運営する一般社団法人Nancyの代表理事・住田涼さん。

投資初心者の10代に、短期売買・仮想通貨・FXをおすすめしない理由

住田さんによると、投資は「プラスサム」「ゼロサム」「マイナスサム」の3つに分類することができるといいます。このサムは、Excelの関数として使われる「SUM」と同様、合計を意味します。

「投資に参加した全員の損益合計の平均が、投資額に対してプラスになるものを『プラスサム』。プラスマイナスゼロになるものを『ゼロサム』。マイナスになるものを『マイナスサム』と言います」。

具体的には、長期投資や買い物をすると貯まるポイントなどがプラスサムに該当するといいます。

一方、「ゼロサムは、機に乗じて短期間で利益を得ようとする投機を指します。具体的には、短期売買や仮想通貨、FXなどです。参加者の損益がプラマイゼロなので、“誰かが儲かった分と同じ分だけ、誰かが損している”ということになります(厳密には手数料や税金などの関係でマイナスサムという捉え方もできますが)。

つまり、投機目的でお金を儲けているデイトレーダーの利益は、それと同じ金額に及ぶ誰かの損失によって成り立っているわけです。百戦錬磨のプロがたくさんいる世界で素人が狙って勝ち続けていけるか? と考えるとあまりおすすめはしません」。

またマイナスサムは、宝くじやパチンコ、保険などが該当するといいます。「保険は意外に感じられた方も多いかもしれませんが、保険会社が大きく儲かっているということはそれだけ加入者が多くお金を払っているということです。保険に加入する際は、毎月支払う金額と、何かがあったときにもらえる金額を天秤にかけて考えるようにしましょう」。

10代に必要なのは「お金の使い方を知ること」

では、10代はいま、どんな金融教育を受けたいと思っているのでしょうか。同調査では、学校の授業で教えてほしいと思うお金の知識についても聞いています。

最も回答が多かったのが「ローン・クレジットの仕組み」でした。ですが、住田さんはその仕組みを知る前に10代で身につけるべき大切なことがあるといいます。

「当塾ではクレジットカードや決済方法などの話はしていません。クレジットカードの仕組みを知っていても借金する人はいます。大事なのはそこではなくて、お金の使い方なんです。

金融広報中央委員会の調査(2019年)によると、20代単身者の45.2%、およそ2人に1人が貯蓄ゼロです。『年功序列の日本において20代は給料が少ないからではないか』と考える方もいるかもしれませんが、貯蓄ゼロ世帯は30代で36.5%、40代は40.5%。つまり、給料が増えても、その使い方で失敗している人が少なくないことを示しているのです」。

賢いお金の使い方を身につけるためには、その支出が「浪費」「消費」「投資」のどれに該当するのかを見極めること、また毎月収入の一定額を先取りで貯蓄・投資に回すことで貯まる仕組みを作るのが有効だといいます。

貯金だけでなく、投資もした方がいいとするのは、銀行に預けるだけでお金が増えていった40年前と現在とでは金利が大きく違うから。自分でお金を増やす力を身につけていかなければなりません。「投資を始めるにはまとまった資金が必要と考える方も多いですが、いまは月100円から設定できます」。


キャッシュレス決済、老後2,000万円問題、長引く超低金利……。お金を取り巻く環境は日々変化しています。生きていく上で欠かせないものだからこそ、正しい知識が必要です。来年度から高校でスタートする金融教育だけでなく、フリマアプリを使ってみる、少額から投資を始めてみるなど、さまざまな経験を通じてお金について学ぶことも大切になってきそうです。

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