長距離レースはどこに? 2022年のスーパーGTのレース距離は「決まっていない」と坂東代表

 9月12日、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表は、第5戦SUGOの決勝日に行われたGTA定例記者会見のなかで、第3戦鈴鹿の定例記者会見で語っていたレース距離について、2022年のカレンダーで盛り込まれるかどうか、また長距離レースなどがカレンダーにどう盛り込まれるかは「まったく決まっていない」と語った。

 スーパーGTは2021年8月6日、2022年の開催カレンダーについて発表した。これまで同様全8戦のスケジュールで、まだレース距離についてGTAからは発表されていないが、同日にJAF日本自動車連盟から発表された国際モータースポーツカレンダーを見ると、第2戦富士が500km、第4戦富士が500マイルとされており、他のラウンドについては300kmとされている。

 そんなレース距離について、坂東代表は7月18日の第4戦もてぎの際の定例記者会見で、将来導入を目指しているeフューエルなどについて言及したが、このなかで「今よりも少ない本数で走れるタイヤ作り、同じ燃料で長く走れる開発など距離を長くして考えていった方が良いと思う」とタイヤのライフを伸ばす開発を進めるために、レース距離を伸ばしたいという考えを示した。

 現在、多くのレースは300kmという距離だが、規定で定められた“ミニマム”であるレース距離の3分の1を走りピットインするチームも多い。予選で履いたものがスタートタイヤとなるが、その後の3分の2を走る戦略が増えている。ただ坂東代表は、2022年から「3分の1でピットインすると燃料が足りなくなるようにしたい」と語っていた。そうなればタイヤ開発がハード方向になるからだ。

 このレース距離については、350km程の距離が想定されるというが、この他にも2021年のレース距離について坂東代表は「現行ではまったく決まっていない」と、今後決定するものだと語った。500kmや1000kmといった長距離レースについても、新型コロナウイルス感染拡大の影響による「環境がどう許すのか、ファンをどう入れるのか」も検討課題だが、「富士スピードウェイからは希望として500マイルも上がっているが、これをどういう体制でやっていくか」と坂東代表。

 国際モータースポーツカレンダーの発表の中では、8月に例年開催されていた鈴鹿10時間は記載がなく、その近い日程でスーパーGT第5戦が鈴鹿で予定されている。鈴鹿サーキットからはこれに関する発表はないが、「1000kmをどう調整するかは今後考えなければ」と坂東代表は発言している。

「距離数に関しては、今後の環境のなかでやっていこうとしている」と坂東代表は語ったが、「チームがなんて言うだろうね。あとはコストの面。1年間に2基というエンジン制限もあるし、GT3の場合はエンジンのオーバーホールも必要になるので、これに収まるようなものにしていくことになる」という。

 レース距離が長くなれば、当然コストも上がりチームへの負担も大きくなる。「GT500の場合はレースで走れるエンジン、タイヤテストで使うエンジンが存在するが、GT3などは使い切りだろうから、オーバーホールをきちんと加味して、その中で収まるようなものにしたい」と坂東代表が言うとおり、今後燃費を考えたものも含め、年間を通じてレース距離が検討されていくことになりそうだ。

2021年スーパーGT第5戦SUGO 定例会見で記者の質問に答える坂東正明GTアソシエイション代表

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