残業200時間超 過労死ライン上回るケースも 労働法令違反 長崎労働局抜き打ち調査

 長崎労働局は、2020年度に長時間労働が疑われる県内372事業所を抜き打ち調査した結果をまとめた。77.2%の287事業所で違法な時間外労働やサービス残業などの労働基準関係法令違反を確認。「過労死ライン」とされる月80時間を大幅に上回る200時間以上の残業をしたケースもあった。
 情報提供や過重労働による労災請求があった事業所を対象に抜き打ちで調査した。労働基準法では、労働者に残業をさせるには労使協定の締結と届け出を義務づけ、時間外労働の上限は原則月45時間、年360時間。特別な場合でも、単月100時間未満、複数月平均80時間、年720時間以内となっている。
 違法な時間外労働があったのは158事業所。従業員の残業時間が月80時間を上回ったのは25事業所あり、このうち月100時間超えが15事業所あった。
 ある教育・研究業は労使協定を結ばず、専門職の1人に100時間以上、2人に200時間を超える時間外・休日労働をさせていた。残業代と休日手当の未払いもあった。トラック運送業では、運転手10人以上に労使協定で定めた上限を超える時間外・休日労働が判明。最長は月174時間に上った。
 サービス残業は41事業所、健康診断や衛生委員会の設置など健康障害を防ぐ措置を怠っていた事業所が62事業所あった。労働局はそれぞれに是正を勧告した。
 長時間労働の上限規定は20年度から中小企業も適用対象になった。労働局は「上限の周知を図り、事業所の実態に合わせ、労働時間の短縮方法などを指導していきたい」としている。

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