歯科技工士が作る「歯列矯正リング」が話題 グロくない!本物の器具使うリアルなかわいさ

本物の歯科矯正器具を使った「歯列矯正リング」を紹介する動画がTikTokで100万界以上再生され、注目を集めている。動画投稿者で歯科モチーフのアクセサリーを製作する「わだラボ」さん(@wadalab)は、歯科技工士としても働いている。「かわいいと思ってもらえるように、”歯のお化粧”を頑張っています」と作品作りのこだわりを語った。

本物の矯正器具を使った「歯列矯正リング」

「歯列矯正リング」は、歯の形をしたプラスチックの小さな土台の上に銀色の矯正器具とカラフルなゴムがあしらわれた作品。わだラボさんによると、これまでの歯列矯正へのネガティブなイメージが変化し「むしろ歯列矯正器具は見せたい」という流行ができているという。「一つのおしゃれとして認められてきているのかなと感じていて。ずっと『歯列矯正ってかわいい』と思っていた私としては、やっと分かってもらえた!と」。「かわいいから指にも付けてみない?」との考えでアクセサリー化に至った。

作品に使用した、メタルブラケットと呼ばれる銀色の矯正器具は、実際に歯科治療で使われる材料を歯科ディーラーから取り寄せている。「本物を使って、歯だけでなくアクセサリーとしてみんなに楽しんでもらえたらうれしいなと思って。それが一番のこだわりです」。ブラケットの周囲に付ける矯正用のカラフルなゴム(カラーモジュール)も、好評の理由の一つになっている。

花の形のカラーモジュールを使用した「お花の歯列矯正リング」
滅菌袋に入れられた「入れ歯キーホルダー」(右)

わだラボさんは歯の詰め物や入れ歯などを作る歯科技工士として働きながら、作品を製作している。歯が好きで、虫歯菌のぬいぐるみや歯の形の小物入れなどグッズを集めたが、日本で購入できる歯モチーフ雑貨の種類が少ないことにもどかしさを感じていた。「ころっとデフォルメされたかわいらしい歯(のグッズ)とかはあるんですけど、それも根こそぎ集め終わって。もう少しリアルなものが欲しいと思ったときに、『そういえば私は技工士だから作れるかも』と思ったのが始まりです」と製作活動を始めた理由を明かした。

「人の体の中で一番硬い組織でかっこいいとか、うまく言えないんですけど曲線美があってきれいだなと思ったりとか、色も白で清楚でいいなとか。変な話ですよね(笑)」とマニアックな視点に照れながら、歯の魅力を語る。特に好きな歯は、食べ物を嚙む力を一番強く支えるといわれる、下顎の「第一大臼歯」(手前から6番目の歯)だという。

「すごく大きくて、一番スタンダードな歯の形をしていて、技工士の学校で最初に習う形の歯というのもあって、すごく思い入れの深い歯でもあります。しかも機能としては一番頑張ってくれているということもあって好きです」と熱弁。実際に「第一大臼歯」をモチーフに、きらりと輝くインレー(詰め物)がアクセントの「歯の指輪」も製作した。

キラリと輝くインレーがアクセントになった「歯の指輪」
下顎第一大臼歯をモチーフにした「キラキラ歯の指輪」

わだラボさんは「歯ってそれほど喜ばれるものではないと思うんですよ、怖いグロいみたいな。なので、丸みをつけてあげたりとか、本当は褐色の部分を輝く白にしたりとか、パッと見たときにかわいいと思ってもらえるように、”歯のお化粧”を頑張っています」と作品作りのこだわりを説明。「どこかかわいいと思ってもらえるような要素をこっそり入れている」と胸を張って語っていた。

「下顎第一大臼歯」をモチーフにしたアクセサリーも製作する
本物の矯正器具を使った「歯列矯正リング」

(よろず~ニュース・今井 佳奈)

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