中国は本当にTPPに加入できるのか。データ移転、国有企業優遇、外資排除...予想される障壁は

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中国政府は9月16日夜、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入を正式に申請したと発表した。中国としては、アメリカが離脱した協定への参加姿勢を示すことで、アジア太平洋地域での影響力を高める狙いがありそうだ。

世界全体のGDP(国内総生産)の13%を占める巨大な経済連携協定への加入はインパクトがあるが、TPPが求める複数の水準を中国が受け入れられるかどうかが壁になる可能性もある。

■参加申請を発表

中国政府商務部は16日夜、正式な加入申請を取りまとめ役のニュージーランドに提出したと発表した。中国はこれまでにもTPP加入について前向きな発言を繰り返してきた経緯がある。

しかし、実際に加入できるかどうかは別の問題。日本を含む参加11か国の同意が必要となるからだ。国有企業への優遇措置など、中国政府の進める政策と相いれないとみられる条項もある。

■そもそもTPPとは?

TPP=環太平洋パートナーシップ協定は2018年12月30日に発行した経済連携協定。もともと交渉を進めていたアメリカが離脱し、日本やオーストラリア、カナダなどの締結国とチリやマレーシアなど署名国、合わせて11か国が参加している。現在、加入を目指すイギリスとの交渉が始まっている。

人口約5億人、世界のGDPの13%、貿易総額の15%をカバーする経済圏で、参加国同士で関税を即時、または段階的に無くしていくほか、サービスや投資、それにEC(電子商取引)などの幅広い範囲の円滑化を目指す内容だ。

■「安可目録」も壁に?

中国からすれば、TPPの定める知的財産保護やデータ移転など、複数のルールを受け入れられるかどうかが加入に向けた障壁になりかねない。

例えばTPPでは、データの国境を越える自由な移転の確保や、情報が保存されるサーバーの現地化要求の禁止などが盛り込まれる。中国政府は、2021年9月に施行されたデータ安全法など、重要データの保護政策を推し進めている。またソフトウェアの設計図と呼ばれる「ソースコード」の開示要求も禁止されている。

さらに政府調達でも参加国のモノやサービスに差別的な待遇をとることも禁止する。中国では「安可(安全でコントロール可能な)目録」などといったリストが存在し、これにより外資排除が進められていると指摘されている。

中国にある日本企業で作る「中国日本商会」が2020年に出した建議には次のような記述がある。

2019年より一部の日系企業より、政府調達において外資企業製品であることを理由に政府調達を失注、あるいは入札に参加できなかったとの声が多数挙がっている。

この建議ではさらに「そもそもリストに関する正式な情報は外資企業には開示されておらず(中略)著しく外資企業にとって不利な状況という指摘もある」と綴っている。こうした水面下の規制が加入交渉で障壁になる可能性はある。

ほかにも、競争を歪める国有企業への援助などを禁止する規定がある。習近平政権下では国有企業の影響力強化が指摘されていて、こちらも交渉過程で問題視されかねない。

また強制労働で作られたモノを輸入しないよう奨励する規定もある。新疆ウイグル自治区などでの強制労働疑惑が持たれ、「でっち上げ」などと強く反発する中国にとっては、再燃しかねない問題だ。