韓国最高裁で「文在寅は共産主義者」発言のメディア人に無罪...有罪判決2審覆す

韓国でムン・ジェイン(文在寅)大統領がメディア人を訴えた名誉棄損裁判で、「ムン・ジェインは共産主義者」という発言が名誉毀損罪に該当すると見ることは困難である最高裁が判断した

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韓国最高裁は16日、名誉毀損の疑いで起訴されたコ・ヨンジュ前放送文化振興会理事長に懲役10ヶ月・執行猶予2年を宣告した原審を破棄し、事件をソウル中央地裁に差し戻した。韓国各紙も報じた。

コ元理事長は2013年1月、保守系市民団体の大会において、当時大統領選候補だったムン大統領を指して「共産主義者であり、この人が大統領になれば韓国が赤化されるのは時間の問題だ」と発言した容疑で起訴された。ムン大統領は、2015年9月に前理事長を名誉毀損容疑で告訴し、検察は2年後の2017年9月と前理事長を虚偽事実の摘示(てきし)による名誉毀損の疑いで在宅起訴した。

裁判では、コ前理事長の発言がムン大統領の社会的評価を低下させるほどの具体的事実を摘示した場合に該当するかと、表現の自由の限界を超えたかどうかが争点となった。

裁判所は「個人が共産主義者であるかどうかは、彼が持つ思考への評価でしかなく、共産主義者としての客観的・具体的な兆候が存在するわけでもない以上、その評価は判断する人の価値観に基づいて相対的であり、これを証明可能な具体的事実と見るのは難しい」と述べた。

続けて、「誰かを共産主義者と表現したという理由だけで名誉を毀損すべき具体的な事実を摘示したと断定することはできない」とし、「前理事長の発言は個人的な見解を省略して明らかにしたものに過ぎず、実際には摘示と見ることができない」と説明した。

それとともに「前理事長の発言の経緯など諸般の事情を総合すると、公的な人物である被害者の政治的理念の意見交換や議論を通じた検証プロセスの一環として見なければならない」とし、「被害者の社会的評価のための負の側面だけを強調して表現の自由の限界を逸脱したと見ることができない」と判断した。

1審では、前理事長の資料や文章などから、(当時の野党大統領候補だったムン大統領を)悪意を持って謀陷(ぼうはん)したり人格的な侮蔑感を与えようとしたりした意図は見えず、むしろ自由民主主義体制と信じてきた体制の維持に執着ているようだ」とし「名誉毀損の故意を認めるのは難しい」と無罪を宣告した。

しかし2審では、「共産主義者」という発言は単なる意見表明はなくて、全体的に検証が可能で具体化された虚偽事実の摘示に該当すると判断され、1審を覆し懲役10ヶ月に執行猶予2年を宣告していた。 高裁は「同胞対立や理念葛藤など考えると、共産主義者という表現は、他のどの表現よりも被害者の社会的評価を低下させる表現」とし、「発言内容の重大性と被害者の名誉が毀損された結果、私たちの社会全般に及ぼす理念葛藤状況に照らしてみると、コ元理事長の発言が表現の自由の範囲内で適法に行われたものを見るのは難しい」と判断していた。

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