エンゼルス・大谷翔平 大丈夫だ!!ホームラン王へ決定的データ

大谷(ロイター=USA TODAY Sports)

ア・リーグの本塁打王争いでエンゼルスの大谷翔平投手(27)が大ピンチだ。12日(日本時間13日)に敵地ヒューストンでのアストロズ戦に「2番・DH」で出場するも3打数1安打ながら、期待の45号は出なかった。一方、ライバルのブルージェイズのウラジーミル・ゲレロ内野手(22)はオリオールズ戦で2回に44号弾、ついに追い付かれた。42本のロイヤルズのサルバドール・ペレス捕手(31)、さらにはブルージェイズのマーカス・セミエン内野手(30)が39本で急浮上。4人とも残り19試合。大谷は日本人選手初のキングに輝くことはできるのか。カギはエンゼル・スタジアムとバレル率だ。

45号が期待された大谷だったが、3番手の右腕グレーブマンと対戦した8回一死一塁はカウント1―1からライナーで右前に運んだ1安打に終わった。角度が付いていれば…という打球だった。出場4試合連続安打としたが不完全燃焼だ。

先発右腕マクラーズとは初回無死一塁がストレートの四球、3回二死一塁は二ゴロ、5回二死無走者は一ゴロと無安打に終わった。

本塁打王争いでオールスター戦前に33本塁打放ち、2位ゲレロに5本差をつけて独走状態だったが、後半に入り失速。52試合で11本塁打、9月は9試合で2発だけ。

一方、ライバルは量産している。ゲレロは8月中旬までペースを落としたが、9月に入り5発と一気に追いついた。3位のペレスはもっとすごい。8月に12本塁打放つなど後半戦21本。9月も4本塁打とペースは落ちない。さらに伏兵セミエンも後半戦17本塁打、9月7発と猛追してきた。

残り19試合は4人とも同じだが、対戦カードでは大谷が不利。地区優勝およびプレーオフを争う上位球団との対戦が16試合。ブルージェイズは上位9試合、下位10試合でロイヤルズは上位13試合、下位6試合となっている。

このままでは逆転でタイトルを奪われそうだが、大谷にとって大きなプラス材料がある。一つは地の利。本拠地エンゼル・スタジアムで10試合残していることだ。今季ここまで25本塁打放っており、本拠地でのシーズン最多本塁打記録を塗り替えたほど相性は抜群。大谷が完璧に捉えれば関係ないが、右中間のふくらみがなく、右翼フェンスが2・44メートルと低く本塁打は出やすい。ファンの「MVP!」コールや大歓声も力になるだろう。

2つ目はバレル率。これはメジャーで近年、注目されている指数で長打になりやすい打球の初速と打球を打ち出した角度を組み合わせたものだ。初速は98マイル(約158キロ)以上で、角度は30度前後とされる。大谷のバレル率はメジャートップの23・1%で、2位はパドレスのフェルナンド・タティス内野手(22)で21・9%。20%を超えているのは2人だけ。

米大リーグ機構公式サイトは11日(同12日)に「2021年に最も向上した選手たち」と題する特集を掲載。「大谷のバレル率は昨年の10・7%から大幅アップした。今季は別の惑星にいるレベル」と紹介した。

バレル率ではペレスの15・2%、ゲレロの14・9%、セミエンの9・9%に大差をつけている。つまり、大谷が最も本塁打になりやすい打球を打っているということだ。

徹底マークと四球攻めを乗り越え、大谷が日本人選手初の本塁打王に輝く――。

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