巨人が現状打破へ「究極の一手」 “阿部慎之助ヘッド代行”誕生あるか?

原監督(右)と“首脳会談”を行った阿部二軍監督(東スポWeb)

果たして「原流ウルトラC」は飛び出すのか。巨人が17日のヤクルト戦(東京ドーム)に2―8と大敗。首位・阪神との差は3に広がった。15日の逆転サヨナラ勝ちの勢いを継続できず、9月の成績は3勝8敗3分けと勝負どころでの苦しい戦いが続いている。選手の入れ替えなど、すでに手は打ち尽くされているなか、現状打破へ「究極の一手」がささやかれている。

2位・ヤクルトとの対戦でチーム勝ち頭の左腕・高橋が4回3失点。後続もツバメ打線の勢いを止められず計8失点を喫した。一方、G打線は2年目右腕・奥川の前に7回1得点と奮わず。今季7勝目を献上した。

試合後の原監督は「やっぱりカウント負けしているもんね、すべてね」と制球に苦しんだ高橋に注文を出した。

だがこの日、チームをザワつかせたのは、阿部慎之助二軍監督(42)だった。午前中にジャイアンツ球場での二軍練習を終えた同監督は、午後3時過ぎにドームのグラウンドに黒のポロシャツ姿で登場。打撃ケージ後ろで原監督と約20分間〝首脳会談〟を行った。

時折、打撃フォームをマネしながら、ファーム調整中の中田翔内野手(32)や、右ヒジ違和感で離脱中の守護神ビエイラ投手(28)の現状などを報告した模様だった。

阿部二軍監督は二岡三軍監督とともに、編成会議のメンバーでもある。これまでも二軍戦が雨天中止の際など〝お忍び〟で東京ドームを訪れることは何度かあった。

だがそれはあくまでもバックヤードの話。一軍コーチ陣やナインに気を使ってか、試合前のグラウンドに姿を見せることはなかった。球団関係者は「編成会議は8月に終わっているし、わざわざ今、東京ドームに来る理由はない。首脳陣同士の連絡はLINEで共有されているし、電話でも連絡を取っている」と電撃訪問に首をかしげた。

さらに〝青空会談〟を終えた阿部二軍監督は、村田修野手総合コーチ、元木ヘッドらと談笑。練習終了の午後3時37分まで存在感を見せつけた。

原監督から直々に呼ばれた可能性もあるが、ここで思い出されるのが、昨季のヘッド代行就任だ。ほぼ1年前となる2020年9月16日、元木ヘッドが虫垂炎で入院したため急きょ、阿部ヘッド代行が誕生した。

V2へ向け絶好調だった昨年9月、阿部ヘッド代行就任までチームは11勝1敗1分けと圧倒的な成績を残していたが、当時の本人は「原監督と僕の野球観の違いにも気づかされた」と戸惑いながらも、阿部ヘッド代行で14戦を戦い9勝5敗の成績。連勝の反動から負けが込んでも不思議ではなかったが、貯金をつくり「勝ち越せたので良かった」と貴重な経験を振り返っていた。

そんな「阿部ヘッド代行」を昨季と同じタイミングで実行となれば…。そこにどんな意味があるのか。

巨人の現状は先発陣が粘れず序盤にリードを奪われ、打撃陣も主力・丸が不調によるベンチスタートが続くなど勢いに乗り切れない。一、二軍間の選手の入れ替えなど、すでに手は打ち尽くされているため、首脳陣の配置転換はチームに刺激を与えるひとつの手ではある。

とはいえカンフル剤となる効果はあるものの、元木ヘッドの立場など周囲に与える影響も大きい。〝劇薬〟が果たして処方されるのか、それとも未遂に終わるのか、百戦錬磨の指揮官から目が離せない。

© 株式会社東京スポーツ新聞社