迫るドラフト「あいつは確定、あとは自分」 後輩は目玉候補…先輩右腕の思い

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埼玉武蔵ヒートベアーズに所属する長尾光【写真:川村虎大】

巨人3軍との交流試合では先頭打者に被弾も4回1失点にまとめた

夕暮れの上尾市民球場のマウンドで、セットポジションから足を高々と上げた。独立リーグのルートインBCリーグ「埼玉武蔵ヒートベアーズ」に所属する長尾光投手だ。昨年、ノースアジア大明桜(秋田)から、BC埼玉武蔵に入団した右腕は、高校の1学年後輩・風間球打投手と同様にNPB入りを目指す。

15日に行われた巨人3軍との交流試合。NPB6球団のスカウトが詰め掛ける中、先発した長尾は最悪のスタートを切った。2球目を巨人の1番・ウレーニャに捉えられ、左越え先頭打者弾を浴びた。

「力んでしまって、力がうまくボールに伝わらなかった。ただ、それ以降はよく投げられたかなと思います」

その言葉通り、崩れなかった。落差が異なる2種類のスプリットを操り、4回を投げて2安打1失点。4つの三振を奪った。

最速145キロをマークした明桜高時代、チームには140キロを超える投手が3人いた。そのうちの1人が今年のドラフト1位候補に挙げられる1学年下の風間球打。「球速では勝てないから」と、輿石重弘監督から教わったスプリットを中心に多彩な変化球を操り、技巧派として立ち位置を確立していった。

3年時は秋田の独自大会で優勝し、高卒でのNPB入りを目指してプロ志望届を提出したが、吉報は届かず。独立リーグで、再度NPBを目指すことに決めた。

「直球を磨け」元楽天・片山コーチの指導で原点回帰

入団当初はフォームを崩し、苦しんだ。「直球も変化球もダメになってしまっていた」。制球も定まらず、痛打される試合が続いたが、片山博視選手兼任コーチが成長を促してくれた。

「『変化球ではいつでもカウントを取れるから、直球を磨け』と言われました」。現在は打者として出場する片山コーチは投手として楽天から2005年にドラフト1位指名を受け、206試合に登板した経験を持つ。投手、打者両方の目線から指導を受けた。

直球を磨く上で意識したのは、原点に戻ること。高校時代、参考にしていのはロッテ・佐々木朗希投手。顔の横にグラブを構えるセットポジションから足を高くあげるフォームだったが、BC埼玉武蔵に入団した時には崩れていたという。

「もう1度そのフォームにしてみたら、しっくりくるようになりました」。球速自体は変わらないが、直球を痛打される機会が明らかに減った。「キレが増してきた」と実感し、片山コーチからも「よくなってきた」と褒められるようになった。

15日に風間がプロ志望届を提出。「あいつは(ドラフト指名は)確定ですから。あとは自分がドラフトにかかって、同じ舞台でやれたらいいなと思います」。長尾は再び、同じ舞台に立つことを夢見て吉報を待つ。(川村虎大 / Kodai Kawamura)