台風14号 17日長崎県平戸付近を通過 壱岐で1人軽傷、対馬の河川氾濫

強風にあおられてガードパイプに接触し、平戸大橋の中央付近で立ち往生したトラック=17日午後2時38分、平戸市

 台風14号は勢力を維持したまま東シナ海から対馬海峡に進み17日夕、長崎県に最接近して平戸市と壱岐市の間の海上を通過した。壱岐市石田では最大瞬間風速34.5メートルを観測。同市では民家の窓ガラスが割れ、80代女性が軽傷を負った。平戸大橋では車が立ち往生し、一時通行止めとなった。大雨となった対馬市では河川が氾濫した。
 長崎地方気象台によると、各地の最大瞬間風速は大村32.4メートル、雲仙岳32.2メートル、新上五島町有川と五島市上大津で28.8メートル、平戸24.5メートル。1時間降水量は対馬市美津島で50.5ミリの非常に激しい雨を観測し、壱岐市芦辺33.5ミリ、長崎28ミリなど大雨が降った。
 県によると、壱岐市芦辺町の80代女性が、強風で割れた自宅居間の窓ガラスで足に数ミリの切り傷を負った。
 17日午後1時40分ごろ、平戸市の平戸大橋で2トントラックが平戸島側から田平町方面に走行中、風にあおられて傾き、車道と歩道を分けるガードパイプ(高さ30センチ)に接触して立ち往生した。平戸署員が駆け付けたが事故処理ができず、運転手を避難させ、午後1時55分から午後4時20分まで全面通行止めとした。
 平戸大橋周辺の駐車場では多くの車両が待機。同市迎紐差町の農業の男性(58)は「田平町内に用事があって通り掛かった。自分の目の前の車両まで通行できたのに」と話し、駐車場から引き返した。
 対馬市上県町では佐護川が午後3時すぎに氾濫し、市は周辺の284世帯553人に避難指示を発令した。国道382号の一部が冠水し、約1キロが一時通行止めになった。
 交通機関ではJR大村線が午前8時ごろから、松浦鉄道と島原鉄道は昼すぎから運転を見合わせた。九州郵船は1便を除き欠航、長崎空港発着便は2便を除き欠航した。九州電力によると、午後4時現在、県内で約3070戸が停電した。

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