星出彰彦宇宙飛行士がISSで船外活動を実施、日本人宇宙飛行士の最長記録を更新

【▲ 船外活動中の星出彰彦飛行士。トマ・ペスケ飛行士が撮影(Credit: NASA)】

日本時間2021年9月12日21時15分から13日4時9分にかけて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の星出彰彦宇宙飛行士と欧州宇宙機関(ESA)のトマ・ペスケ(Thomas Pesquet)宇宙飛行士による6時間54分の船外活動が国際宇宙ステーション(ISS)で実施されました。今回が4回目だった星出飛行士の船外活動時間はこれで合計28時間17分となり、日本人宇宙飛行士による船外活動合計時間の最長記録を更新しています。これまでの最長記録は野口聡一宇宙飛行士の合計27時間1分でした。

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【▲ P4トラスで船外活動を行う星出彰彦飛行士(上、宇宙服に赤い線あり)とトマ・ペスケ飛行士(下)(Credit: NASA)】

今回の船外活動では、ISSへの増設作業が進められている新しい太陽電池アレイ「iROSA(ISS Roll-out Solar Array)」を取り付けるための架台の設置が行われました。iROSAは既存の太陽電池アレイ(1基のサイズは35.5m×11.6m)よりも小さい18.2m×6mというサイズながらも、1基あたりの発電能力は既存の太陽電池アレイとほぼ同じ20キロワットを発揮します。

今年の11月で建造開始から23年を迎えるISSは太陽電池の経年劣化にともなって発電能力が低下しており、iROSAを合計6基増設して発電能力を2~3割増強することが計画されています。iROSAはすでに2021年6月にISSの左舷側の端に位置するP6トラスで2基の取り付けが完了していて、星出飛行士とペスケ飛行士は3基目のiROSA用の架台をP4トラスに設置する作業を行いました。

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【▲ 6基すべてのiROSAを増設し終えたISSを描いた想像図(Credit: NASA/Johnson Space Center/Boeing)】

また、今回の船外活動ではiROSAの架台設置の他に、動作不良を起こしていた浮動電位測定装置(FPMU)の交換も行われました。FPMUはISSの帯電・放電によるリスクを抑える対策を立てるための装置で、太陽電池アレイとその周辺の電位を測定しています。

冒頭でも触れた通り、星出飛行士にとって今回の船外活動は4回目、ペスケ飛行士にとっては6回目で、船外活動の合計時間は星出飛行士が28時間17分、ペスケ飛行士が39時間54分となりました。2020年11月から宇宙飛行士の長期滞在が始まったISSにおける船外活動としては今年で12回目、長期滞在開始以降では244回目となり、すべての船外活動の合計時間は64日5時間54分に達しています。

【▲ 船外活動中にトマ・ペスケ飛行士が撮影したセルフィー(Credit: NASA)】

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Image Credit: NASA
Source: NASA / JAXA
文/松村武宏

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