「越えて、より先へ」合言葉に 大雨被害から復興へ決意 雲仙観光戦略会議

雲仙観光の復興について意見を交わす参加者=雲仙市小浜町、雲仙メモリアルホール

 長崎県雲仙市観光戦略の合同ワーキンググループ会議が16日、同温泉街であり、参加者が8月の大雨災害からの復興をテーマに意見交換。「越えて、より先へ 雲仙」を合言葉に観光振興へ向かう決意を共有した。
 市主催。観光戦略は、同温泉街の魅力向上を図り滞在型観光地に育てるのを目標に市と観光関係者などが昨年策定。昨年8月から、七つのワーキンググループ(分科会)で議論を重ね、月1回のペースで合同会議を開いている。
 16日は約60人が出席。冒頭、土砂崩れで犠牲になった同観光協会職員の森優子さん(32)と両親に黙とうをささげた。宮崎高一・雲仙温泉観光協会長(58)が復興への合言葉を紹介し、「災害前よりも魅力ある雲仙になるよう、スピード感をもって取り組んでいく」とあいさつした。
 出席者は八つの班に分かれ、▽復興の進ちょくを観光戦略PRサイト「雲仙ポータル」に積極的に投稿する▽地獄の熱で水を温めて旅館に送る「燗(かん)つけ」を観光客に見せて自然との共生をPRする-など復興へのアイデアや課題を出し合った。同温泉街でゲストハウスを営む市来勇人さん(38)は「災害を風化させず、自然の脅威と(温泉などの)恩恵について考え、発信する地域づくりを進め、世界に誇れる温泉街にしたい」と発表した。
 8月13日に発生した土砂崩れでは、同温泉街の八万地獄に土砂が流れ込み、宿泊施設などへの温泉の供給が約1カ月停止するなど大きな影響が出た。「燗つけ」は現在も停止したままで復旧方法を検討している。

© 株式会社長崎新聞社