“異能”アクションや推しキャラクターの魅力を徹底追求!「イースIX -Monstrum NOX-」編集・ライター座談会

© 株式会社イクセル

PS4版、PC(Steam)版に続き、2021年9月9日にNintendo Switch版が発売となった「イースIX -Monstrum NOX-」。本作に魅せられたGamer編集部の編集者1名とライター2名が、その魅力を語り合った。

座談会に参加したのは、Gamer編集部のTOKEN、日本ファルコム作品の記事を多く手掛けるライターのアサミリナ、アクションゲームなどを幅広くプレイするライターの小林白菜の3名。

ゲームの趣味趣向も、「イース」シリーズへの向き合い方も異なる3人のトークは白熱し、かなりのボリュームとなっているが、「イースIX」の魅力を振り返りたい方や、Switch版の発売を機に本作が気になっている方に、読んでいただければ幸いだ。

※詳細なネタバレは極力避けていますが、多少ストーリー展開が察せられたり、“怪人”の正体の人となりに触れる発言があります。ゲームの楽しさが損なわれるほどのものはありませんが、「イースIX」をまだクリアしていない方はご注意ください。

■シリーズ全作をプレイしている猛者から「イース」歴3年の初心者まで――3人の「イース」シリーズ遍歴

TOKEN:「イース」シリーズといえば日本ファルコムさんの中でも歴史の長いゲームシリーズです。まずこのタイトルとのこれまでの関わり方について、お聞きしていこうと思います。まずは私から。

10代の頃、ちょうど「イース」シリーズがあまり活発な展開をしていなかった時期と重なっていて、シリーズをちゃんと認識したのは「イースVI」の頃だったかなと。プレイしたのはPSPの「イースI&IIクロニクルズ」が最初ですね。せっかくの初代に触れるチャンスだと思って。

それから「イース セルセタの樹海」や「イースVIII -Lacrimosa of DANA-」もプレイしているんですけど、諸々の事情でクリアまでは至らず……。そんな感じだったので、「イースIX」もどうしようかと思っていたのですが、アサミさんの話を聞いて、おもしろそうだなと。触ってみたらガッツリハマりまして。気が付いたらクリアまでプレイしていました。

アサミ:やったー!(笑)

TOKEN:過去のシリーズと比較するつもりはないんですけど、とにかく今回自分にとってはドンピシャだったんだと思います。なので今日はいろいろおはなしできればなと。

アサミ:私は初代の「イースI」からリアルタイムでプレイを続けています。移植作などには一部プレイしていないものもありますけど、「セルセタの樹海」などのリメイク含め、基本的にはすべてやっています。

TOKEN:すごい数になりますよね……。

アサミ:ただ、そこまで深く遊んでいるかというとそうではなく。なぜならアクションは好きなんですけど、同時に下手なんですよ(笑)。高い難易度もやり込むといったことはせず、サラッと遊んで「今回もおもしろかったな!」って満足するみたいな。その中でとくにやり込んだものを挙げると「イースVIII」と、今回の「イースIX」になりますね。

TOKEN:直近の2作ですね。

小林:ずっとプレイしていたファンとしても「VIII」と「IX」はそれくらい良いゲームだったってことですか?

アサミ:そうですね。「アクションが好きだけど苦手」っていう致命的な矛盾を抱えているせいもあると思うんですけど、「VIII」と「IX」が自分にとって遊びやすかったというのもあって、「イース」の中でもよりいっそうハマりました。

小林:僕もTOKENさんとだいたい同世代だと思うんですけど、やっぱり10代のころはPS1、PS2の時代で、「イース」があまり新作を出していなかったと思います。なんとなくタイトルを認識するようになったのは大人になる頃で、そこからさらに年月が過ぎて、いよいよプレイしてみようと思ったのは「イースVIII」がNintendo Switchに移植されたときでした。

TOKEN:けっこう最近なんですね。

小林:はい、2018年ですね。初「イース」ながらアクションもおもしろいし、システム面にストレスがないし、キャラクターもストーリーも魅力的ですごく夢中になって。「イースIX」はPS4版を発売日に買ってプレイしました。

TOKEN:「イースIX」ってこれまでのシリーズの中でも発売前にあまり情報が開示されなかったじゃないですか。どういうゲームかよく分からないというか。

アサミ:私も分からなかったです。

一同:(笑)

TOKEN:それでも遊んでみようって思えたのは、やっぱり前作「イースVIII」が良いゲームだったからということでしょうか?

小林:そうですね。「イースVIII」をつくった方々がつくるなら間違いないだろうというのはありました。あと確かに「イースIX」は、ストーリーや世界設定は発売前にはあまり開示されていなかったですけど、ゲームシステムの部分はいろいろ出ていたと思うんです。そこでとくにアクション面で、「VIII」ともまた違った面白さが味わえそうだと感じて、購入を決めたと記憶しています。

TOKEN:自分はストーリーにエネルギーがあるゲームじゃないとなかなか夢中になれない人間だったので、発売前にそこが掴めない「イースIX」には不安があったんですけど……。そんなときアサミさんの話を耳にして……あれは何が切っ掛けだったかな? あ、Gamerで書いてもらったレビューがいちばんの理由だったかもしれません。

自分はあまり人の意見に影響されないので、「おもしろい」と言われてもそれで触ることってあまりないんですけど(笑)。当時はこれが決め手になったんだと思います。

アサミ:あのレビューではたしかけっこうキャラクターやストーリーを推したと思うんですよ。もしかしたらその辺が刺さったのかもしれないですね。このレビューを提出したとき、TOKENさんめちゃくちゃ褒めてくれましたもん(笑)。

TOKEN:そうでしたっけ?(笑)

アサミ:長い間お世話になってますけど、TOKENさんにあんなに褒められたのはじめてかも(笑)。すごい印象に残ってます。

TOKEN:結局、触ってみたらシステムもめちゃくちゃおもしろかったんですけど。やっぱり筋書きが分からないのは個人的に怖いので、アサミさんのレビューが切っ掛けになってプレイできたのは良かったなぁと思いましたね。

■“異能”による縦軸のアクション、システム拡張のバランス……「イースIX」最大の魅力とは?

TOKEN:つぎに「イースIX」の「とくにおもしろいと思ったところ」について話していただこうと思います。

アサミ:とくにおもしろいと思ったのは“異能”を使った縦軸のアクションですかね。ストーリーの進行に沿ってマップの行ける場所が広がっていくという形ではありますけど、それでもあの街を自由自在に動き回れるっていうのは凄いなと思いました。「これをファルコムがやれちゃうんだ!」というか(笑)。すごく驚きました。

小林:僕もとくにおもしろかったところとなると、やっぱり“異能”によるアクションになります。自分の場合、けっこうゲームに関して浮気性と言いますか、気に入ったタイトルの続編でも、あまり代わり映えのしないゲーム性だったりすると買わないことが多いんですよ。

「このシリーズなら全部知ってます」と言えるものがなかなかできないのでゲームライターとしてどうなんだと自分でも思うんですけど(笑)。その点、「イースIX」は「VIII」とは違う部分に注力しているであろうことが発売前の情報で分かったので、それはぜひ自分でプレイして確かめたいなと。

アサミ:私とは真逆ですね(笑)。私は好きなタイトルができると全部追っちゃうタイプなので。

小林:それで、僕は海外のアクションゲームなんかもいろいろやるんですけど、その中で広大な街を縦横無尽に駆け回れるのが魅力のゲームっていくつかあるんですよね。「イースIX」の異能アクションにプレイ感覚がいちばん近いのって「Prototype」っていうゲームだと思うんですけど。ビルの壁を猛スピードで駆け上がって、そこからムササビのように滑空するとか。

アサミ:「Marvel's Spider-Man」っぽい感じですか?

小林:ああ、そうですね。「Prototype」などで楽しめた遊びをさらにパワーアップさせたのが「Marvel's Spider-Man」とかになるのかなと思います。でもそういったゲームってバトルの部分は大味だったりするんですよね。「イースVIII」は戦闘アクションが最高に気持ちよくて楽しかったので、そこに縦横無尽な移動アクションが加わるってことは「イースIX」って最高のゲームになるじゃんって(笑)。

アサミ:分かる(笑)。

小林:発売当初こそフレームレートが下がるといった問題が生じてアップデートが入ったりしてましたけど、実際にプレイしてみても自分が思い描いていたゲームに近いものにちゃんとなっていて。それで最後まで夢中になって楽しめました。

舞台になっているバルドゥークという街での移動アクションがやっぱり楽しいんですけど、ダンジョンで宝箱にたどり着くためのちょっとしたパズル要素にも異能を駆使する必要があったり。ゲーム全体に新しい要素が行き渡って機能しているところにも関心しきりでした。

アサミ:「そこに見えているのに簡単には取れない宝箱」っていうのは「イース」シリーズに昔からある伝統なんですけど。今回縦軸のアクションが加わったことでいっそう謎解き感が増したというか。

昨日久しぶりに、第2章で訪れるクロアカ・マキシマっていうダンジョンをやり直してたんですけど、2年前にめちゃくちゃ迷ってようやっとたどり着いた宝箱の取りかたをやっぱりまた忘れていて(笑)。同じところで30分くらい迷ってたんですけど。でもちゃんと取っておかないと気が済まないっていう。

小林:そこにあるのが見えているからもどかしいですよね(笑)。

アサミ:登れるところと、飛んでいかなきゃいけないところとみたいな組み合わせの塩梅が、今回はすごく良くできていたと思いますね。

小林:アクションのスキルも求められる分、頭の中で思い描いた動きで上手く宝箱までたどり着けたときの達成感はいっそう大きかったように思います。

TOKEN:おふたりに言いたかったことはほとんど言われてしまったんですけど(笑)。あと個人的に良かったところだと、ゲームが進むたびにシステムが拡張されていくっていう部分のバランスの部分で。プレイヤーの慣れに合わせて制約が減っていくというところが巧いなと。

いきなりすべてのシステムが使えていたら、「分かんない!」ってなっていたと思うんですよ。それをストーリーの中で出てきた設定と噛み合わせた上で開示していく、併せて街やその外にあるフィールドの行ける範囲が広がっていくっていう一連の流れが見事で。

オープンワールドのゲームでもそうですけど、自分みたいにいきなり放り出されても困っちゃうタイプにもちょうど良くて、でも自由度はあるっていう。相反するようなものが絶妙なバランスで成り立っているおかげで、そのどんどん拡張していく感覚がすごく新鮮でした。

アサミ:さっきクロアカ・マキシマの話をしましたけど、あそこに行けるようになった時点で仲間になっているのって赤の王と白猫ちゃんだけなので、使える異能が“クリムゾンライン”と“ヘヴンズラン”だけっていう状態じゃないですか。

基本的にそのふたつだけですべての宝箱が取れるようになっているんだけど、そこに鷹が加わって“ハンターグライド”が使えるようになると、もっと簡単に宝箱が取れるっていう場所がけっこうあって。そういう部分のバランスも含めて良かったなぁと思うんですよね。アクションが苦手だと取りにくい宝箱も、異能でできることが拡張されたあとでまた来れば簡単に取れるようになるよっていう。

TOKEN:いわゆるクエストがあるおかげで、何度もダンジョンを訪れる動機づけにもなっていたのも大きかったですね。「イース」ってゲームとしては一本道になりがちなイメージがあったんですけど、「IX」はいろいろな要素が組み合わさっていて。

個人的に「イースIX」のダンジョンに潜りつつ、クエストも平行してクリアしてっていうのは「軌跡」シリーズとか、あと「東亰ザナドゥ」にも近いつくりだったかなと。そういう意味ではファルコムさんだからできた、ファルコムさんのこれまでの歩みがあったからできたゲームかなと思いました。

過去のアクション要素の強いタイトル……たとえば「那由多の軌跡」とかも、触った当時は気持ちよさと難しさのバランスがすごく良いゲームだなと感心したんですけど。「イースIX」はそういったいろいろな過去作の集大成になっているんじゃないかなって。そこに真っ先に惹かれたように感じますね。ノウハウの蓄積があってこういうゲームになったんだなっていう感動といいますか。

アサミ:今回はアクションとストーリーのバランスって意味でもすごく良かったなって思いますね。「VIII」はすごくおもしろかったんですけど、比重としてはストーリーが大きかったので。その点「IX」はいろんな意味でバランスが取れていたっていうのが「ファルコムだからつくれたアクションRPG」っていう評価に繋がるのかなと思うんですけど。

TOKEN:今回、キャラクターの掘り下げっていう部分でも、メインキャラクター以外もちゃんと掘り下げられていたのが良かったと感じていて。

小林:バルドゥークというひとつの街が舞台だっていうのも大きいですよね。サブキャラクターもその街で暮らす人々だから、日々の暮らしだったり、バックボーンに深く関わる掘り下げになっていたというか。

TOKEN:その辺りも「東亰ザナドゥ」からの流れを感じる部分ですね。

小林:「東亰ザナドゥ」もひとつの街が舞台になっているんですか?

TOKEN:そうですね。立川が舞台なので。ファルコムさんの所在地なんですよ。

小林:ああ、なるほど。

■「プレイヤーの分身」とはひと味違う“赤の王”、すべての要素が噛み合った“鷹”

TOKEN:次にお気に入りのキャラクターは誰なのかという話を聞きたいと思います。未プレイの読者さんのために、仲間の“怪人”たちは正体じゃないほうの名前で呼びましょう。

小林:そうですね(笑)。ネタバレは最小限で済むように話したほうがいいですよね。

TOKEN:もちろんパーティメンバーじゃないサブキャラクターでもいいですけど。アプリリスもいますし。

アサミ:私はダントツで赤の王と鷹なんですけど。ただ、アドルではなくて、赤の王なんですよっていうのは強調したいですね。

小林:なるほどー。

TOKEN:言わんとしていることは分かります。

アサミ:さすがにこのあたりは言ってもいいと思うんですが、どうでしょう?

TOKEN:赤の王が「アドルが怪人へと変貌した姿」っていうのは公式サイトにも書かれているので大丈夫だと思います。おはなしとしてのギミック的なところをぼかしていただければ。

アサミ:アドルってシリーズを通して「プレイヤー自身」とイコールなところがあって、基本的には本作でも変わらないんですけど。バトル中や相槌以外はほとんど喋らないですし。だから私の場合、ずっと「イース」をプレイしていてもアドル自身にそこまでの感情を持つことって今まではなかったんですね。

TOKEN:自分の分身ですもんね。

アサミ:でも赤の王は別ですね。カッコいいなと思いました。赤の王にならないアドルだったら何の感情も湧かなかった気がするというか(笑)。

TOKEN:最初から伏線は張っているんですけど、「イースでそれをやるか!?」っていう驚きがありました。盲点を突かれたというか。

アサミ:でも可能性としては……あぁ、これ以上はネタバレになるかな(笑)。ただ、監獄内のパートで赤の王の噂を聞きますけど、実際に赤の王の姿を見ているわけではないんですよね。いろいろな可能性を予想しながらストーリーを楽しむことができました。

TOKEN:終盤のとあるシーンの赤の王がすごく良かったですよね。

小林:それこそ、プレイヤーの分身としての存在をちょっと超えたような行動を取るところにグッと来ましたね。

アサミ:あそこで改めて「赤の王、いてくれてありがとう」っていう気持ちになりました。

TOKEN:鷹のほうはいかがですか?

アサミ:なんだろう、性癖に刺さったとしか言いようがない(笑)。

TOKEN:言い方(笑)。どういうところがいいんですか?

アサミ:なんだろうなぁ。あの姿かたちと、台詞と、石川界人さんのボイスと……。すべてが噛み合った結果、あのキャラクターが異常に刺さったんだと思います。多分何かひとつでも違ったらここまで好きにならなかったと思うんですよ。

TOKEN:なるほどなぁ。まあ理屈じゃないんですよね、多分。

アサミ:理屈じゃないですよ。ルーファス(「閃の軌跡」シリーズのキャラクター)をひと目見て恋に落ちたときと同じような感じですよ。ダメ、アウト! みたいな(笑)。

TOKEN:小林さんは知らないと思うので説明すると、ルーファスにハマったときのアサミさんはヤバかったんですよ。それまでアサミさんにはほかに好きな「軌跡」シリーズのキャラクターがいらっしゃったんですけど、まさかこんなにハマるとはって感じで。

小林:へぇ~(笑)。もともと好きだったキャラとルーファスでは全然共通点はない感じなんですか?

TOKEN:そうですね、全然ないです。

アサミ:なにもないです。

TOKEN:でもそれくらい激しく感情を持っていかれることってあるんだなってアサミさんを見ていると気づけるというか。自分はそこまでにはあまりならない人間なので、「沼にハマる」ってこういうことなんだなって。

アサミ:話を戻すんですけど、鷹もまさにそれです。もちろんただオラついているだけのキャラクターじゃないギャップの部分とか、いろいろあるんですけど、全部含めて「コイツしかおらん!」みたいな(笑)。

小林:僕も男性のキャラクターで唯一お気に入りとして挙げたいのって鷹なんですよね。アサミさんの熱い語りのあとだと些細な理由になってしまうんですけど……。

アサミ:すみません(笑)。

小林:鷹は公式サイトにも「協調性に欠ける」って書いてありますけど。僕はそこまでRPGを多くはプレイしていないんですが、ここまで協調性のないパーティメンバーってほかのRPGにもそんなにいないのかなって思うんですけどいかがですか?

アサミ:うーん、でもいるゲームにはいるかもしれない。

TOKEN:そうですね。けどパーティの中にひとりいると物語が展開しやすいんですよね。

小林:トラブルメーカーが起こす騒動が起点になってストーリーが動き出すみたいなことですよね。鷹はその乱暴さも育ちの複雑さに起因していたり、そういう部分でもこの「イースIX」のダークなテイストってこのキャラクターがいたおかげで引き立っていたかなと。このゲームに必要なキャラだったなっていう意味でお気に入りに挙げました。

アサミ:あとパーティメンバーではないですが、ドギが良かったなぁって。序盤でドギと再会してすぐくらいのとき、選択肢次第ではあるんですけど、「お前、辛いときほど笑うようになったな」みたいなことを言うんですよ。この台詞が出てくるのが「イース30年の歴史!」って感じられて。

TOKEN・小林:あぁ~。

アサミ:やっぱりドギはアドルのいい相棒だなぁって思いましたね。

■“白猫”、“人形”、“猛牛”――女性パーティメンバーたちの三者三様な魅力

TOKEN:小林さんはほかにどんなキャラクターがお気に入りですか?

小林:メインの女性キャラクターだといちばん人気なのは白猫だと思うんですけど、僕はほかのふたりが気に入っていて。まず人形さんなんですけど、彼女のエピソードって「イースIX」の中ではほっこりと心温まるおはなしだと思うんですよ。シリアスな展開が多い中でそういうおはなしがあったことで愛着が湧いたというか。

あと操作キャラクターとしても、アドルの次くらいに多く使っていたんですよね。戦闘でのモーションなんかも華やかで、それでいて隙の少ない使いやすいスキルが多くて。あとダッシュしたときスイーって滑るように走るのが気持ち良かったですね(笑)。公式イラストを見るとかかとにローラーがついているのが分かりますけど。

TOKEN:確かに気持ち良さがありましたね。

小林:もうひとりは猛牛なんですけど。アサミさんのインタビュー記事でも触れられていましたけど、まぁ、彼女には彼氏さんがいらっしゃるじゃないですか。

TOKEN・アサミ:はい(笑)。

小林:たとえば前作の「イースVIII」だとダーナしかりラクシャしかり、アドルといい感じというか、アドルに対していわゆる恋愛感情に近いものを最終的には持っていたと思うんですけど。でも人と人の関係性ってそればっかりじゃないと思うし、そういう気持ち抜きに仲間としてお互いを信頼できるみたいな、そういうのも良いなって。そういう関係性の多様さが、猛牛さんを通して感じられた気がして印象深かったかなぁと。

アサミ:「イース」シリーズをプレイしていると、だいたい女の子はアドルのことを好きになっちゃうんですよ。そういう意味でも、私もやっぱり猛牛ちゃんには彼氏がいて、アドルのことを好きにならない女の子っていうのはすごく良かったなって思うんですよね。

TOKEN:いちばんあの街で地に足が着いた生き方をしていたのは猛牛だと感じたので、そういう意味でも感情移入しやすいキャラクターでしたね。

小林:自分の周りにいる大切な人たちを守るためっていうのもあって怪人としての戦いに身を投じている、みたいな主体性もカッコいいと思いました。サブキャラクターで好きなのはキリシャの姉のカーラさんなんですけど、彼女が好きなのも同じような理由かもしれません。

アサミ:私はさっきドギの話をしましたけど、あとサブキャラクターで好きなのはマリウスなんですよね。詳細は省くんですけど、このあとのシリーズでどうするんだろう? っていう意味も含めて気になってますね。シリーズを通しての因縁に関わってくるキャラクターだったので。

TOKEN:「イース」って描こうと思えばまだまだ新しい物語を描けるシリーズですからね。

アサミ:なにせ百何本の冒険譚のうち、まだたった9本しか明かされていないですからね(笑)。

TOKEN:次に自分のお気に入りですけど、自分は白猫ちゃんが好きですね。その正体も含めて。彼女の一人称が“ボク”だったのって一瞬じゃないですか。

アサミ・小林:そうですね(笑)。

TOKEN:なんというか、ぜんぜん自分のキャラをつくれていないところというか(笑)。あぁ、根は良い子なんだなってすぐに分かるのが。

小林:そういう不器用っぽさも含めて良かったっていうことですよね。

アサミ:多分、白猫が“ボク”って言ってる台詞、10個もないと思いますよ。本当に、いちばん最初に出てきたグリムワルドの夜と、白猫としてお金をばらまくところくらいでしか言ってないので。

TOKEN:仲間になってからほぼ言ってないですよね。キャラが崩れるのが早すぎて「どうした?」みたいな(笑)。なかなかないですよね、あんなに早くプロフィールに載っているキャラクター像が崩れるのって。

アサミ:そのテンポの速さって「ファルコムらしさ」ありますよね。

TOKEN:まぁそこは好きなところとしてはちょっとネタっぽい部分ですけど。あとはやっぱり最初に仲間になってくれて、その後もアドルにとってとくに近しいキャラクターだったので。主人公に対しての白猫のポジションっていうところに自分は愛着が沸いたのかなと。

小林:確かに、怪人になってしまったことによる問題とか苦労を分かち合うっていうのは相棒のドギでもできないところで。そういうところも含めると、本作でアドルにとっていちばん近い立場で寄り添ってくれたのは白猫だったのかなって思いますよね。

TOKEN:そうですね。良かったですね。やっぱり今回、メインキャラクターにバックボーンをしっかり描いてくれているキャラクターが多かったので、感情移入しやすかったっていうのがあると思います。

■3人とも「イースVIII」より「イースIX」派!その理由は!?

アサミ:「イースVIII」だとストーリー自体は重厚で壮大だったんですけど、バックボーンが詳細に描かれたのはダーナくらいだったじゃないですか。「IX」はサブキャラクターも含めて、すごく丁寧に描かれていると感じましたね。

TOKEN:アプリリスの過去もストーリーの中で明らかになりますし、かなりバランス良く描かれていますよね。

アサミ:サブキャラクターも、好感度を上げると発展するクエストをクリアするといろいろ分かるようになっているので。そういう意味でもすべてのキャラクターを丁寧に描いているなぁという感じがします。「イース」シリーズでここまで多くのキャラクターの内側に踏み込んだ作品ってないと思うんですよ。

メインストーリーは「VIII」のほうがボリュームが大きかったかなと思うんですけど。過去のダーナと現在のアドルを行き来するような感じで進むので。

TOKEN:今回やっぱり、各章の中でやるべきことがクエストも含めて定まっていたから、キャラクターを深堀りする下地になっていたのかなって気がしますね。

アサミ:諸々のバランスって意味でも巧かったですね。アクション部分とストーリー部分もそうですし。パーティの人数自体はそんなに変わっていないというか、過去作でもここしばらくは3人~6人くらいで進むことが多かったんですけど、仲間をしっかり深堀りして描くっていうほどのものではなかったんですよ。

TOKEN:「イース」の根幹にあるのはアクションだからっていうのはあると思うんですけど、「イースIX」ではゲームの進行がかなりストーリーベースのRPG仕立てになった印象があって。これもさっき挙げた「東亰ザナドゥ」などのタイトルを経たからこそのつくりなのかなと。

「イース」のこれまでの決まりごとみたいなものに縛られていたらつくれないゲームですよね。「VIII」とか、過去作もそうやって進化してきたのかもしれないですけど。

アサミ:それでもやっぱり「イースVIII」は「イース」だったんですよ。言い方がおかしいかもしれないですけど(笑)。「今回もいいイースだったなぁ」みたいなものだったというか。「イースIX」は、シリーズが好きで遊び続けていた人が「今回もいいイースだったなぁ」って思う作品とは明らかに違うかなって思います。

TOKEN:言い方が難しいですけど、「VIII」は好きだったけど「IX」はそれと比べると……っていう方もいますもんね。

小林:僕もメインストーリーは「VIII」のほうが感動できたんですけど、ゲームシステムとかもすべて総合すると「IX」のほうが好きなんですよね。

アサミ:私もまったくそれです! 全部同意です。

小林:あ、なんか嬉しいです(笑)。

■1作目から受け継がれるファルコムサウンドの魅力

TOKEN:ほかに「ここは言っておきたい」みたいなところってありますか?

アサミ:「音楽が最高!」ってことかな。

TOKEN・小林:あぁ~。

アサミ:それこそSwitch版が出るにあたってやり直していて、クロアカ・マキシマに入ったときとなりにいた娘が「ボスバトルが始まったのかと思った」みたいに言っていて。「違うんだよ! ダンジョンに入っただけでこういう曲が掛かるのがイースなんだよ!」みたいな(笑)。

TOKEN:そうですよね。「イース」の曲はどれもいいっすもんねぇ。

アサミ:そうなんですよねぇ……。

小林:うん……ふふっ(笑)。

アサミ:あははっ(笑)。

小林:あの、ちょっとダジャレみたいになってましたけど。

TOKEN:あはははは(笑)。えぇー? 無自覚に言ってたからすごい恥ずかしいんですけど。

小林:アサミさんも笑ってるから絶対同じこと思ってるなって。もう突っ込まざるを得ないじゃないですか……!

アサミ:(笑)。

TOKEN:でも確かに「イースI&IIクロニクルズ」をやったときも思ったなぁって。激しい曲がダンジョンで流れてくると、プレイの疾走感みたいなものが全然違って、「イース」を遊んでるんだと思えるみたいな。

アサミ:ダンジョンで掛かるロックっていうのも「イース」30年の歴史で培われてきたものかなってすごく思いますね。ファルコムjdkバンドのライブで、いちばん盛り上がるのは「軌跡」シリーズのボーカル曲なんですよ。TOKENさんはご存知だと思うんですけど。

TOKEN:最近のライブだとそうですね。

アサミ:でも私の中では「イース」のダンジョン曲をやってくれたときがいちばん盛り上がるんですよ。

TOKEN:ダンジョン曲はメドレーに組み込まれて演奏されることが多いですよね。「イースI」のバトル曲(「TO MAKE THE END OF BATTLE」)なんかは絶対やりますし。

アサミ:やりますね。定番曲ですから。古代祐三さんの代表作のひとつですよね。

小林:あぁ、そうか。当時の「イース」は古代さんが関わっていたんですよね。

アサミ:その伝統が「イース」の音楽っていうのはずっと受け継がれているので。作曲家の方が変わってもここまでテイストを守ってやっていけるのは、ファルコムの強みだなって感じますよね。

TOKEN:ちゃんとタイトルごとに勝負曲があるっていうのも強いですよね。

■“グリムワルドの夜”は「頻度」と「タイミング」と「理由付け」が絶妙

TOKEN:音楽の話も出たので、だいたい語ったかなって感じですけど、小林さんはいかがですか?

小林:あと「イースIX」のシステム面で付け加えるとしたら“グリムワルドの夜”ですかね。通常のバトルと違って「この場所を守りましょう」とか「制限時間を延長しましょう」みたいな、目の前の敵を倒すだけじゃない目的意識を持って戦うっていうのがゲームプレイのバリエーションになっていたのが良かったかなと。

「VIII」にも“迎撃戦”や“制圧戦”といった近い要素がありましたけど、あちらよりも単純に敵の物量が多かったりと、爽快で高揚感のあるバトルになっていたと感じました。

TOKEN:個人的にはそんなに頻繁にやりたいバトルではないですけど、あっても嫌じゃないっていう塩梅ですね、“グリムワルドの夜”は。

小林:まぁこればっかりだと疲れちゃいますよね。

アサミ:「イース」の楽しさにやっぱりバトルは欠かせないので、確かにこればっかりじゃ疲れるけど、「IX」ではいいタイミングと物量で楽しめたかなと思いますね。「VIII」のときの“迎撃戦”ってあまり理由付けもなく、敵が襲ってくるから戦わなきゃって感じだったなって。

TOKEN:あぁ、「IX」はゲームの設定として組み込まれているから納得感がありますよね。他社さんのとあるタイトルについて、インタビューでおはなしを伺ったとき、ゲーム内に入れる要素の取捨選択に「説得力があるか」っていうのを大事にしているという話があって。やっぱりプレイヤーにとっても納得できないと気になっちゃうところですよね。

アサミ:私は「VIII」の“迎撃戦”は正直ちょっとしんどかったんですよ。

小林:探索の途中とかのタイミングで急に「戻って拠点を守れ」みたいに言われましたよね(笑)。

アサミ:そうそう! 「IX」の“グリムワルドの夜”はシステム的には“迎撃戦”とだいたい一緒なんですけど、ちゃんと理由付けがあって。タイミングも良くて、最後まで楽しめたと思います。

小林:NOXゲージが貯まると“グリムワルドの夜”が訪れるっていう仕様だから、心の準備もできますからね。

TOKEN:改めて考えるとシステム全般が良くできてますよね。フラッシュムーブ・フラッシュガードのバランスもすごく良かったなって。

アサミ:フラッシュムーブ・フラッシュガードは以前からあるシステムではありますけど、いわゆるレバガチャっぽい感じでも発動するのが「イース」の良いところですよね。

TOKEN:そうそう! タイミングの判定が緩いんですよね。それが良いなと思って。ファルコムさんのゲームって難易度を上げようと思えば上げられるけど、システム自体は良い意味で緩いですよね。気軽にアクションを楽しみたいっていうプレイヤーにとってはすごくちょうど良い。

アサミ:そこが私のような「アクションが好きだけど苦手」っていう人にとっても非常に遊びやすいんですよね。だからずっとシリーズをやり続けていられてるんだと思います。

TOKEN:自分もアクションが苦手なタイプなのでなかなかクリアまで遊べないんですけど、やっぱり「イースIX」は最後まで楽しめましたからね。

■次回作はどうなる!? 今後のイースに期待したいこと

TOKEN:最後に締めのテーマとして、「今後のイースに期待したいこと」をお聞きできればと思います。具体的なものじゃなくても大丈夫です。次のタイトルはリメイクになる可能性もあると思うんですけど、いまのところファルコムさん内製のリメイクとなると「イース セルセタの樹海」ぐらいでしたっけ?

アサミ:いえ、「イース−フェルガナの誓い−」があります。「フェルガナ」が「III」のリメイクで、「セルセタ」は「IV」のリメイクですね。それで、「V」はまだリメイクされていなくて、「VI」は「イース6 オンライン~ナピシュテムの匣~」が運営されているっていう状態になってます。

小林:なるほど。

TOKEN:「フェルガナの誓い」も「イースSEVEN」もPSPってことを考えると遊ぶハードルは上がってきていますよね。「セルセタ」は「イース セルセタの樹海:改」としてPS4に移植されましたけど、ああいった移植が増えるとほかのシリーズにも多くの人が触れやすくなるとは思いますね。「軌跡」シリーズはそのへんが手厚いですし。

アサミ:そうですねぇ。「V」、「VI」、「SEVEN」とかは割と切実にやってほしいんですよね。

TOKEN:未来の話を知るのも楽しいけど、過去の話も知りたいから「イース」全体のフォローアップがされるといいなって思いますね。「軌跡」シリーズもあってそれをやるのは凄く大変だろうなとは思うんですけど(笑)。「軌跡」みたいな重いものを抱えているゲーム会社もなかなかないですからね。

でも「イース」の良さには、シリーズの全体像を楽しむこともできるし、単体でも楽しめるっていうところもありますよね。

小林:僕は次回作が「VIIIのシステムに戻しました」となった場合はプレイしない可能性があるので(笑)、TOKENさんの話で言えば作品単体で楽しむタイプってことだと思うんですけど。それでも挑戦を続けてくれる限りはまた遊びたくなると思うので、また驚きのあるゲームになってほしいっていうのが次回作に期待したいところですね。

TOKEN:でも正直に言うと異能アクションが凄かったので、このあとに新鮮な要素を加えるのはめちゃくちゃ大変だと思いますけどね。

アサミ:それはすごく思うんですよね。「IX」では異能っていうシステムを怪人の設定で半ば強引に可能にしたわけじゃないですか。同じ手段で縦軸のアクションを導入することはできないわけですし。次の新作のハードルはめちゃくちゃ高いだろうなぁと思うけれど、近藤さんならそれを超える何かをつくってくれるんだろうなぁって私も期待しています。

TOKEN:このボリューム感のアクションRPGってなかなか無いなぁと思うので。リリースの間隔は長かったとしても、これからも新作をつくり続けてくれると良いですよね。

アサミ:「イース」はもともとリリースの間隔が長いタイトルですからね。

TOKEN:「VIII」と「IX」が珍しく短かったんですよね。

小林:3年くらいしか空いてないわけですもんね。

TOKEN:あとファルコムさんは「黎の軌跡」に合わせて新しい内製のゲームエンジンを開発しているので、それが「イース」にも活きてくると大きな変化が起きるのかなって楽しみですね。

(C)2019-2021 Nihon Falcom Corporation. All rights reserved. Licensed to NIS America, Inc., Sub-Licensed to and published by Nippon Ichi Software, Inc.

イースIX -Monstrum NOX-の情報を見る