韓国紙「日本企業は中国と協力しつつ警戒も怠らず」「米側立つ政府と異なり、生存戦略着々」

韓国紙が、米中対立が進むなか、日本企業の中国対応など「生存戦略」に注目している。

東亜日報は18日、客員論説委員であるパク・サンジュン早稲田大学教授のコラム『米中貿易戦争のなかの日本の生存戦略』を掲載した。

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パク教授は、「米中摩擦は日本に大きな悩みの種でないはずがない」とし、「中国は日本の最大の市場であり、米国は二番目に大きい市場でありながら、最も重要な友邦である」と指摘。

続けて、「米国との同盟関係を害することもなく、中国市場を放棄することもできない葛藤状況で、日本政府と企業がとる一連の措置を見ると、過去の経験に基づいた彼らなりの生存戦略を読み取ることができる」と述べている。

政府次元では、日本が米国の側に立つことを鮮明にし、同盟強化や、米と台湾との半導体サプライチェーンの構築などが進められているが、「しかし、米国側であることを隠すことができない政府とは異なり、日本企業は、中国企業との協力関係を一層強固にしている」とパク教授は指摘した。

パク教授は、「日本企業は、米国の圧迫が中国の成長を一時的に鈍化させることはできても潰すことはできないと思っている」と主張する。その背景として、日米が1986年に半導体協定を結び、それを境に日本の半導体産業が衰退し始めたことを挙げ、「この歴史を知っている中国は米国に順応して、市場を奪われるより極端な対決をしてでも、米国の譲歩を獲得し妥協に至るだろうと日本の企業家たちは期待する」と分析。

そして、「中国市場の成長の可能性は変わらないと見て水面下で中国企業との協力体制を強化している」と伝えた。一例として、トヨタが3月に清華大学傘下の中国企業と合弁会社を設立発表したことを挙げ、これを「電気自動車の時代への移行に備えた布石だ」と紹介した。

パク教授は、日本の企業が毎年大規模な代表団を構成して中国を訪問して中国の政治家や官僚、企業と経済協力を議論するとしつつ、日本の政治家は同行しないことから、「民間主導であるため、政治的紛争とは距離を置くことができる」と伝えた。

一方で日本は「中国の脅威に備えた準備も怠っていない」とし、日本の会社が全世界のレアアース鉱山に投資していることや、自動車関連業界もサプライチェーンの整備のために連帯し始めたことを挙げ、着々とその生存戦略が実行されていることを指摘した。

また、MLCC(積層セラミックコンデンサ)世界最大手の村田製作所が中国の売上高の割合が50%を超えるが、現地生産ではなく日本国内生産にこだわっていることも上げ、「中国への技術流出を防止するためだ」と指摘した。

パク教授は、日本米国の同盟国という立場を堅持してきたことを知る中国は、日本に対し「米国か中国かの二者択一を強要しない」とし、「日本企業は、政治的状況とは関係なく、民間レベルの協力関係を発展させようと努力しながらも、一方では中国を警戒して、中国の脅威に備える」と説明した。

その上で、「国際社会の終わりのない環境変化に適応し、体得した生存戦略である」と評価している。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「日本の村田が技術流出を防ぐために、国内(生産)に固執するのを見よ。巨大中国市場よりも未来を見通す慧眼がすごい。韓国の書籍レンタル店の活性化が漫画家を殺す愚かな政策だったが、日本は著作権重視で漫画家を育て、その創意力の土台の上に文化が花開いた」

「我々も日本のようにすべきなのだが、政府が率先しておかしなことをするものだから…」

「太平洋を越え、米国を攻撃するのに最適な戦略的要衝地が韓半島と日本である。米国の友邦とはそういう意味だ。永遠の友好国はない」

「日本政府が中国に強硬に出て、日本企業は投資を増やすというのは、日本政府の行動が一種の政治ショーである可能性がある。米国が圧迫するから、中国に強硬なふりをして裏では経済協力するのさ」

「良いことは習うべきなんだけど、韓国は中国にひたすら低姿勢に徹しながら反日をする…」

「簡単に言えば、日本が二股をかけているという記事内容だが、それは状況を正しく判断していない。日本は米国の対中圧力に積極的に協力しており、記事の内容のように、企業を通じて中国をなだめるはリップサービスにすぎない…日本と中国は、アジアの覇権を争ってきたが、最近の中国の浮上は日本としては耐えにくく、このような状況が続けば、日本は後退せざるを得ないから…」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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