ホテルの「サウナホカンス」にコロナ禍の“リベンジ消費”の可能性 流通アナリストが「非日常」体験

コロナ禍の中、幅広い世代による「第3次サウナブーム」が起きている。漫画やテレビドラマで描かれた、サウナ愛好者の心得を示す「サ道」や「ととのう」という言葉も広まった。そんな中、ホテルニューオータニ(東京)が今月17日から10月17日までの週末か祝日限定で、ナイトサウナと宿泊セットにした「サウナホカンス」プランを実施する。体験取材した流通アナリストの渡辺広明氏はよろず~ニュースに対し、サウナがアフターコロナの「リベンジ消費」につながる可能性を指摘した。

「泊まって、ととのう」をキャッチフレーズにした同プランは、プールサイドに人数制限を設けたテントサウナを設置し、ホテルでは都内最大級のプールをソーシャルディスタンスを保った水風呂として活用。混浴を避けるため、男女別の「メンズ」と「レディース」デーを設けた。ちなみに「ホカンス」とは韓国発のトレンドで、外出自粛となる中で「ホテルでのおこもりバカンス」を意味する。

渡辺氏は「私はサウナーで、普段は近所の銭湯サウナに通っていますが、取材で非日常のサウナホカンスを体験してきました。プールという夏以外の未稼働施設を活用し、第3次サウナブームに合わせて、ホテルならではのサウナご飯『サ飯』を提供するなど、ぜいたくを感じられ、リラックスの『ととのう』時間となりました。やはりプールなので水風呂はキンキンに冷えていませんが、泳げて『ととのう』のは最高です」と振り返る。

その上で、渡辺氏はサウナブームの背景について「ワクチン接種が進みつつも、遠出の旅行などやイベントや夜の外食の自粛が続く中、日帰り温泉や江戸時代からの文化として続く銭湯など、近隣消費(マイクロツーリズム)が後押しし、サウナブームが拡大している。サウナは、仕事をリタイアした人口ボリュームゾーンであるシニア世代に人気の娯楽だったが、コロナ禍で遊びが制限されている若者が参入しトレンドを形成した事により、全世代に利用でブームが定着している」と説明した。

さらに、同氏は「疲労・不眠回復やストレス解消の効果があり、全世代が気にする健康にも繋がる娯楽であり、サウナ室や外気浴でのマインドフルネス瞑想で脳が活性化するため、日帰り温浴施設でのワーケションの利用も増えている。独り用、女性専用、川や湖を水風呂の代わりにするアウトドア、五感が活性化するのに合わせた今回のようなプロジェクトマッピングのアート系サウナなど、エンタメ要素も盛り込んだサウナもあり多様化したサウナが次々とでき、ブームはさらに加速化しそうです」と付け加えた

ところで、現在の「第3次」ブームの前2回はいつか、おさらいしておこう。第1次は1960年代。64年の東京五輪でフィンランド選手団が持ち込んだとされているが、ゴルフ場など男性向きのスポーツ、娯楽施設などで人気が広がった。第2次は健康ランドやスーパー銭湯など温浴施設が普及した90年代。ファミリーで楽しむ人も多かった。現在は、コロナ自粛を背景とした「ささやかな楽しみ」に支えられているようだ。

渡辺氏は「ワクチン接種が進み、3回目も検討される中、経済を回す企画が今後必要となっており自粛期間も長期に及んでいるため、『リベンジ消費』に本格的に向かっていくと思われる。ただし、先行きが不透明な部分もあり、ソーシャルディスタンスを前提とした『リハビリ消費』を経てから、『リベンジ消費』に昇華してきそうだ。特に海外旅行や大人数が密集して集まるイベントなどのメドが立ちづらく、緩やかな再開が予想され、年末年始には国内のホテルでの今回のプールサウナのホカンスのような、ディナーショーや年末年始の滞在プランなどが人気を博しそうだ」と予想した。

今後の見通しについて、渡辺氏は「年末年始はコロナ禍で政府からの規制要請で厳しかった旅行・イベント・外食などを救済する消費が活性化し、消費者としては国内の良さを再認識できる良いチャンスなのかもしれない」との見解を示した。

(よろず~ニュース編集部)

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