キッチンカーでコロナ禍打破を 仕込んだ料理を移動販売 佐世保の飲食店

自慢の料理が販売された「紀の川」のキッチンカー=北松佐々町市場免

 コロナ禍で厳しい状況をキッチンカーで打破できないか-。長崎県佐世保市の洋懐石「紀の川」は18日、北松佐々町市場免の「酒の一斗 佐々店」の敷地内にキッチンカーで出店し、店で仕込んだ料理を移動販売した。店主の内山太さん(45)は「将来的には他の飲食業者にも貸し出して活用してもらいたい。各店舗の魅力を再現すればチャンスがある」と考えている。19、20日も出店を予定している。
 内山さんが計画を練りだしたのは昨年夏ごろ。新型コロナウイルス感染拡大で「(感染を懸念して)飲食店に立ち寄って利用する人は減るのでは」と考え、知人の飲食業者からキッチンカーを譲り受けた。車内で作ったスイーツを無料で配布したり、ボランティア目的で使用する飲食業者に貸し出したりするなどして認知度を高めてきた。
 今年7月からは、キッチンカーで料理を販売する取り組みを本格的にスタートした。料理は地元の鮮魚店から仕入れた魚介類を使用するなどし、飲食店と仕入れ業者双方に利益を生む方法を実践している。
 9月18日には、サーロインステーキ丼やブリの西京焼きなど酒に合う肉や魚料理を販売。「酒の一斗」の担当者は「お酒も一緒に購入してもらえる機会があるのは大きい」と口にする。訪れた北松佐々町の女性(70)は「店舗に行くのが難しい中、店でしか味わえない料理を購入できるなんて」と笑顔を浮かべた。
 一方で内山さんは「相応の利益を出さないとキッチンカーを維持はできない」と難しさも口にする。コロナが今後どんな状況になろうとも、左右されない飲食業界に-。そのための挑戦が続いている。

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