コロナ禍「手探りの戦い」 続く部活制限、不安否めず 九州高校野球長崎大会

 平日は2時間、休日は中止、他校との交流禁止…。コロナ禍で部活動の制限が続く中、高校野球は春の甲子園につながる県大会が開幕した。選手たちは入学以降、感染症対策を第一に、大会の有無自体にやきもきし、同様の“縛り”を繰り返し受けてきた。センバツへの道を無事に歩み始めたが、手探りの戦いが強いられる。
 シードを決める各地区新人大会が中止になり、組み合わせはフリー抽選で決定。早い段階で予想される好カードも多い。「経験不足で投打とも柱を固められない」「練習試合で試せず、想定していたコンバートができていない」「部活動に理解があるか、学校によって差がある」「なぜ休日は駄目なのか。まだ続くのか…」。大会前、監督陣はこう漏らしていた。
 昨年は同じコロナ禍で新人大会を実施。感染者数に伴う“タイミング”の問題でもある。今回も11月上旬の九州大会まで含めると、約2カ月にも及ぶ長期戦。ある指導者は「“辞退”という最悪の結末を避けるためにも全員にワクチンを打ってほしいが、簡単なことではない」と話す。
 そうした懸念を抱えて迎えた今大会は、投手を軸にどれだけ守れるかが例年以上に勝負のカギとなりそうだ。「秋は守備力」と言われているように、昨年は大崎が県大会全5試合で6四死球しか与えず、守備から流れをつかんで九州も制した。
 この日も、その大崎や2017年秋の九州王者の創成館などが存在感を示した。大崎はエース勝本を除いた登録全19人が出場して今季初の公式戦で快勝。17安打の打力が目立ったが、3投手の無四球リレーをはじめ、テンポのいい守備が前提にある。創成館もエース石本らが粘投し、バックが堅守を披露。基礎基本は徹底されていた。
 九州切符は2枠。どのチームも未完成ではあるが、順調に実戦を重ねて成長していけば、長崎県勢が3年連続で春切符を手にする可能性は十分ある。そう感じさせる秋の開幕だった。選手が悲しむ姿をもう見ないために、県高野連や家族ら関係者が果たす役割も大きい。

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